第184話自滅


そしてアインは、その次の日の朝に、自分のクランや、商店を持って帰っていった。


しかし、クランにいた問題児たちはこのまま、この国に置いていくことになった。


そしてアインがいなくなって初日。


「王様、あの者はこちらに対して、特になにもしてきませんでしたね。」


「そうだな。あのものも王だから、何かしてくるのでは?と思っていたのだが…」


「まぁ、良いじゃないですか。こちらの国に対して戦争を仕掛けてこないだけでも良かったですよ。」


「そうだな。」


「それよりも王様、あのクランがいなくなったので、埋め合わせをしなくてはいけないのですが。」


「宰相よ。なんに良い案はあるか?あのクランはこの国の危険な魔物たちを倒してくれていた。そして、彼らがいなくなったので、これから魔物は増えるぞ。」


「それに関しては、今から、ドルにクランを作ってもらうことになっています。」


「おお、ドルか。確か彼はクランが有った時には最強のメンバーだったよな。」


「はい。しかもなぜかアイン王は全然メンバーはつれて帰らなかったのです。」


「おお、それでは、建物と店は持ってかれたけど、メンバーはほとんど残っているのか。」


「はい。裏方の職員は持ってかれていますけど、戦いが中心だったメンバーは残っています。」


「それでは急いで、新しいクランを作ってもらわなければな。」


そして、ドルは王に言われた通り、クランを作った。


「それでは、ドルよ。これからはこのクランを大きくしながら王国に来る魔物を倒していってくれ。」


「分かりました。」


こうして、王国はクランがいなくなった対策をした。


そして…


「王、次は商店の減少問題ですね。」


「ああ、アイン王が持って帰った商店か。」


「はい。しかし、こちらはあまり問題視しなくて良いでしょう。」


「何故だ?」


「さすがにアイン王も大きな商店をこの国においているわけがありませんし。少しだけ、物価が上がるだけだと思われますよ。」


「そうか。それではこちらは特になにもしなくて良いな。」


こうして、商店のほうにはまったく対策をしないことが決まった。


そして数日後…


「どうなっているのだ。この状況は!?」


「何でしょうか?」


「この光景を見てみろ。大勢の市民が南南西に向かっているのだ。」


「買出しにでも行っているのではないでしょうか?」


「それにしては、荷物が多くないか?」


「そうですね。それでは少し調べてきます。」


そして数分後。


「王様、何故市民たちが向こうに向かって動いているか分かりました!」


「何だ?」


「理由は3つあります。」


「だから言ってみろ。」


「まず1つ目が商品の品質の低下です。あのアイン王はこの国で結構多くのものを売っていたらしく、どれも品質が良いため、いきなりなくなった市民たちから不満の声が来ていました。

二つ目は、クランです。あのクランは、確かに個人個人は強いのですが、人を集めたり、裏方の仕事もちゃんとできていなかったらしく、全然依頼を達成できず、市民にも働いてもらったようです。

そして三つ目はドルたちによる市民への強盗ですね。俺はこの王国を守っているんだぞ。といっていたそうです。」


「そう、だったのか。」


「はい。そして、南南西にはアイン王が王国があるそうです。」


「何だって!?それはつまり市民を取られたのか?」


「そうとはいえないですね。これは市民が勝手に移動しているだけですので。」


「しょうがない。それでは残った市民と一緒にこの王国をもう一回最初から立て直そう。」


「分かりました。」


そして、最初からやり直そうとした王だったが、そう簡単に王国が元に戻る訳がなく、すぐに王国は崩壊してしまった。

 

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