第115話キャロライン、意外と強かった


訓練所の中は、見た目よりも5倍くらい大きくなっていた。


「結構広いわね。」


「そうだね。これなら訓練ができそうだ。」


「それでどんな訓練をするの?」


「とりあえず、冒険者として必要な魔物との戦闘になれてほしいな。」


「でもどうするの?ここの学校はさすがに魔物を捕まえてはいないよ。」


「それは大丈夫だよ。僕が魔物を出すから。」


「魔物を出すって…それってテイムしている魔物って言うこと?」


「そういうこと。僕が今から魔物を召喚するから、そのモンスターを倒して。」


「でもそれだとアイン君のテイムしているモンスターが消えちゃうんじゃないの?」


「それは大丈夫。君が倒しそうになったら僕がモンスターを退避させるから。」


「それなら安心だわ。それじゃあお願い。」


「Fランクの冒険者は本来モンスターとは戦わないんだけど、もしかするとEランク級のモンスターと遭遇することがあるかもしれないから、Eランク級のモンスターを出すね。」


アインは前の王都襲撃の魔物以外にもたまにモンスターを収集していたのだ。


「それじゃあ行くよ。」


そしてアインはゴブリンを3対出した。


「アイン君。さすがにゴブリンは倒せるよ。『身体強化1』発動。」


キャロラインがそういうとスピードが2倍くらいになって余裕を持ってゴブリンを倒した。


「Eランクは余裕だね。それじゃあDランクに行くよ。」


アインはそういっていろんなランクを試したが、Cランクのモンスターをぎりぎり倒せるくらいに終わった。


「Cランクまでしか倒せなかった。これじゃあAランクにはなれない…」


「Cランクを1人で倒せるのはすごいことなんだよ。だってCランクのモンスターって普通はCランク冒険者が3人いて倒せるくらいなんだから。」


「それなら私の実力ってどれくらいなの?」


「Cランク上位かBランクの下位くらいじゃないかな。」


「そうなんだ。それじゃあアイン君にできるだけ早く追いつけるようにがんばるね。」


「いや、今でも十分強いよ。親の教えがやっぱり良かったんだね。」


「お父さんもお母さんもがんばって教えてくれたから…剣術と素手なら結構できるよ。」


「そうなんだ。まだ余裕があるなら魔法も覚えてみたらいいんじゃない?」


「魔法って才能がないとできないんじゃないの?」


「確かに才能がないと難しいかもしれないけど、がんばれば誰でも使えるよ。」


「そうなんだ。でも戦闘中に使う暇なんてあるの?」


「使う前に武器とかに魔法をまとわせておけばいいんだよ。」


「それって、エンチャントのスキルが必要だったよね。」


「いるね。」


「でもスキルって簡単には手に入らないでしょ。」


「僕が使えるから、僕のを見てやっていけば普通の人よりも早く習得できると思うよ。」


「アイン君がそんなに言うならやってみるわ。それよりも気になったことがあるんだけど。」


「何?」


「アイン君って絶対にBランクよりも強いよね。」


「何でそう思ったのかな。」


「だってさっき出していたのって、Bランク級のモンスターでしょ。それでアイン君って自分で言ってたけど、Bランク級のモンスターってBランク級冒険者が3人必要なのにテイムしているって言うことはアイン君がBランク級モンスターよりも強いんでしょ。」


「…」


「それにアイン君ってたぶんAランク級のモンスターも持ってるでしょ。」


「何で!?」


「だって私がBランクモンスターに勝っていたらAランク級のモンスターを出していたでしょ。」


「確かに。」


「何でBランクで止まっているかは聞かないけど、Aランク以上の実力があるなら、その力も教えてね。」


「分かったよ。」


そしてアインはキャロラインにどんどん弱みを握られていくのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る