第40話 項籍・項羽と韓信! (9)

 でッ、解放が許された韓信様は、籍に対して、「……閣下ぁ~、有り難う御座います……」と、言葉を述べて、立ち上がると──。


 何度も会釈をしながら、「閣下ぁ~、この御恩は決して忘れません……。本当に有り難う御座います……」と、お礼を何度も籍に告げた。『閣下ぁ~』と、籍に対して、甘い声色を漏らしながら。


 そんな彼女彼女の艶やかな背中を籍は未練がましく凝視しながら。笑みを浮かべ手を振り続けたよ。


「またねぇ~、韓信さぁ~ん!」と、韓信彼女の背に言葉を投げかけながら……。


 すると彼女韓信は、放置してあった自身の馬に跨ると、今度は──。


劉邦殿ぉ~! 信は只今、愛するあなたの下に帰還しますぅ~」


 韓信彼女はこのように歓喜の声を高らかにあげて──。


 自身の馬に一鞭入れると──。


 劉邦赤帝が待つ自身の国の方向へと、愛馬と共に進路を取り駆け抜け始めた──。


 そして時間ときが経てば、彼女韓信の艶やかな背中は消えてなくなったのだよ。


 まあ、馬鹿な奴だよ、籍は……。



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