54.常に優柔不断かもしれない

これにするべきか、あれにするべきか、もしくはそれなのか。



選択肢が多いほど悩みは果てなし。


即断即決ーー私とは無縁な言葉である。


どっかの心理学者が、優柔不断な人は物事を深く広くあらゆる角度から考えることが出来るから、学者向きだと言ってた。



よし、学者になろう。エロ学者に俺はなるーーエロ学者ってなんだ。セクハラ三昧のエロ爺ぽいイメージしか湧かない。



欲張りな私は1つだけ選ぶなんて出来ないし、結局有る物全て選ぶことは決まっているのに、それでもすごく悩んでしまうのだった。



「決まった?」

「灘流は?」


「俺は林檎のやつ食べる。」

「じゃあ私はまずバナナとラズベリーにしよう。」



フルーツにトローリ溶けたチーズ。ーーチーズの塩気がフルーツの甘さを引き立ててくれている。


うまうま。



甘じょっぱいチョコバナナ、チーズ無しの胡桃とチョコの香ばしいセサミピザ。


食べ終わりそうな頃を見計らい、双子が新たなピザを運んでくる。



「主、こっちのアイス乗せたやついかがですか?」


「食べる。」



バニラアイスの他に、イチゴとバナナ、そしてチョコソースがかかってる。


ヒンヤリ温かも美味しい。



モッツァレラとハチミツ、クリームチーズとイチゴ。


うまうま。



「もう食べないの?林檎ピザしか食べてないよね。」


「もうお腹いっぱいだよ。」

「少食だね。」

「お忘れかもしれないけど、釜飯食べたからね?」



忘れるわけがない。ちゃんと覚えてるよ。灘流は私のことをどれだけ忘れっぽい人だと思ってるんだ。



「スイーツは別バラなんだよ。」


「いつものことだけど、別バラの枠を遥かに越えてるよね?別バラは林檎ピザで満たされたから、俺のことは気にせず食べなよ。」


「わかった。」


もう満たされたと言うなら、気兼ねなく食べよう。『食べたかったのに俺の分まで食べやがって、アイツ、マジ意地汚ねぇな』と、ハーレム要員辺りに密告されたら、私に生命の危機が訪れてしまう※注)完全に被害妄想



「主、こっちも食べて食べて!」


「食べる。」



チョコマシュマロピザか。ーー表面はカリッとして中はトロッと熱々だね。



「これ、あと3枚食べたい。」

「了解でっす!」



なずながすずなに勝ち誇った顔を向ければ、すずなが悔しげな顔を見せる。



「クリームチーズとイチゴのピザと、バナナとラズベリーのピザも。」

「了解でっす!」



すずなの顔に笑顔が。



こうして気を使い、どっちの作ったピザも美味しいよアピールしてあげないと、片方が落ち込んでしまうからね。



なんという思いやりに溢れた行い。食べたいだけだろって?ーーそうとも言うね。


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