【3】
「え、…あのっ」
「呼んだのは藍蒔だけど、俺の相手してよ。」
「わ、分かった!相手するね!ソファでお話しよっ。あのっ…は、離れて?」
取り敢えず照れアピールしとこ。
「やだ。」
「は、恥ずかしいよ…。」
「ずっとくっついてれば慣れるよ、きっと。…俺だって、ほんとは恥ずかしいんだ。」
会ったばかりなのに積極的ね!
まぁ、私って美少女だし~、気持ちは分かるわ~。
でも藍蒔と知り合いだし、もしかすると、今日が初めてじゃない可能性も。
ある日、藍蒔と居た美少女な私に一目惚れした少年。藍蒔に相談したら、じゃあ俺が協力するわってなった。
迷路でさんざん不安感や恐怖心を煽り、ヒーローが颯爽と登場!吊り橋効果で私が意識。
自分だけを意識させる為と、すんなり部屋に誘導する為に、それらしいこと言ってアイマスクを着けさせ部屋へ。
さぁ、ここからが真の目的って訳。
多分最初は、私と部屋でいろんなこと話して、私のこと知りたい、仲良くなりたいってのが目的だった。
でも密着してるうちに、それだけじゃ物足りないことに気付く。
『恋人になりたい』
どうしたらいい?
どうすれば恋人になれる?
会ったばかりなのに恋人になりたいなんて、図々しいと思われないだろうか?冗談でしょって笑い飛ばされやしないだろうか?年下は頼りないから好みじゃないって言われないだろうか?
それが怖くて素直な気持ちを口に出せない。
悶々とした気持ちのまま、気付いたら抱きしめていた…
て感じ?
やだもー、私ってなんて罪な存在なの!
「――ん、美羽さん?俺の話聞いてました?」
「…ほぇ?」
「立ったまま寝てました?」
「や、やあね!そんなわけないでしょ!」
おかしい、ちっともおいしい流れにならない。
美少女の私を間近にしてるのに、まるで平常心なのは何でなの!?
「聞いてなかったみたいだし、もう一度言います。腹減ってますよね?すぐ用意するんで食べてください。」
「失礼します。」
まるで言われるのを待っていたかのようなタイミングで声がかかった。
開きっ放しだったドアから、使用人らしき人が入って来て料理をテーブルに置いていき、一礼して下がる。
たっぷりウニを使用したパスタの上には、キャビアが。
グウ~~っ
良い匂いに刺激され、お腹が鳴る。
恥ずかしさにチラリとソファの少年を見れば、聞こえてないのか、こっちを見ることもなく本を読んでいた。
テーブルに並べられた料理の数々を平らげ、飲み物で一息ついた頃
「まだ時間大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。」
「じゃあ、美羽さんの時間、俺に少しだけください。」
ついにおいしい流れがぁぁああああ!
ソファに並んで座り、他愛もない話に花が咲く。
時折ボディタッチをしてあげれば、摩れてない初々しい反応を見せるからすごく楽しめる。
すっごく可愛いから、ついついボディタッチサービスを大盤振る舞いしちゃった!うふふ!
良かったね~少年!今日は美少女にたっくさん触ってもらえてラッキーね!
「美羽さん。…これ、今日の記念に。」
そう言って見せられたのは、花をあしらったブレスレット。
「受け取ってくれますか?」
「え、くれるの?」
「美羽さんの為に作ったんです。」
私の為に作った物が用意されてるなんて、やっぱりどこかで私に一目惚れしてたのね!
「ありがとう。」
さっそく着けると、嬉しそうに彼が笑顔を見せる。
いや~ん、可愛い!!
その後『今日はありがとう』とキラキラした笑顔で菓子折りを渡され、帰宅。
あ、名前聞くの忘れちゃった。
まぁ次に逢った時聞けばいいわね!
少年は私に惚れてるから、訪ねてあげれば喜ぶし、その時に聞こうっと。
お菓子は某有名高級菓子で、めちゃくちゃ美味しかった。
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