13.癒されたい≪灘流≫
知らなくても困らない話ベスト3に、確実に入るであろう他人の前世話を聞きたくもないのに聞かされ、ただでさえお腹一杯だというのに、あの後延々と、男の肉体美について語られる罰ゲームみたいな時間を過ごしてクタクタだよ!ちくしょう!
アイツが何に重きを置いて暮らしてるのか知りたくなかったよ…。なんかもう今までと見る目変わる自信ある。
非常に心が薄汚れた気がするので、一刻も早く姉ちゃんで浄化せねば。
姉ちゃんの部屋のドアをノックしようとしたら、中から男の荒い息づかいが。
「ハァッ、ハァッ…ハァッ、ねぇッ…こっち見、てよ。…クッ、俺のッ…」
バーーーーンッッー
「姉ちゃーんッ!?」
最悪の事態を想像して開けた扉の向こうには、フラフープをする上半身裸のチャラい男が。
「お帰り、灘流。」
「ただいま。」
姉ちゃんは椅子に座りながら、紅茶とクッキーを楽しんでいた。
「ずいぶん帰りが遅かったな。クソ生意気にデートか?クソガキ。」
椅子が話し掛けてきた。
「黙れクソドM。」
俺がテーブルに付くと葛城が紅茶を用意しながら、姉ちゃんの手にある食べ掛けのクッキーをチラッチラッ見ている。
「姉ちゃんのクッキー食べたい。…ん、アーモンドが香ばしくて美味いね。」
変態のコレクションが増えるのを阻止。
「クッ…ハァッ、…主ッ!見てッ…俺のッ腰使いを!」
「桐人の腰使いとかどうでもいいわ!つか、なんで上半身脱いでフラフープしてんだよ。」
「意味っ…は、…無ッ…い…ハァッハァッ…」
「ハァハァ五月蠅いなお前。フラフープ止めろよ。」
「まだまだぁぁああ!!」
なんでそんな気合い入ってんだよ…
「あ~あ、早く卒業して俺も姉ちゃんの居る学校に行きたい。そしたら毎日学校で姉ちゃんに逢えるし。」
「逢いに来ればいいじゃないですか。」
「用事もないのに行けない。」
「まあ、精々俺等を羨ましがれ。俺等は学校で主に接触し放題だからな!」
「は?お前等が接触し放題とか寝言は寝て言え。お前等なんて学校で話し掛けるなって言われてんの知ってんだからな。」
「チッ。」
クッキーを頬被り紅茶に口をつける。
俺の前世、アンリに喋った方いいのか?――いやでも別に面白エピソードとかないしな~。
長生きして最期聖剣ぶっ刺されただけだし、まぁ言わなくていっか。
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