半分
暖かな午後に、
ソファで本を読んでいた時だ。
「あった。あった」
僕の側へ来た君は、
ペン立てから、
ひょいと万年筆を取り上げた。
「貸して」「いいよ」という
やりとりなんて存在しない。
息の合った相棒同士のように、
遠慮のないやり取りだけがある。
親しき仲にも礼儀あり、
なんて言葉もあるけれど、
僕らの間では
余計なお世話だと言わせてもらうよ。
僕のお気に入りを君が使う。
たったそれだけのことが、
なぜかとても嬉しくて。
君に認められたようで、
とても誇らしい気持ちになるんだ。
好きなものは半分ずつに分け合いながら、
僕と君の人生はひとつにしてみないか。
「ねぇ。結婚しようか?」
それはとても自然な流れで、
そっと口をついたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます