若葉
「なんだか、私たちみたいだね」
冬の寒さを乗り越え、
温かな陽射しを目一杯受ける街路樹。
それを見上げていた君が、
嬉しそうに笑いかけてきた。
僕に出来た初めての彼女。
お互いに、ようやく制服が
体へ馴染む程の月日が過ぎた。
恋人同士。
この高揚した気持ちを
どう表現したらいいのか
分からないけれど、
彼女を心から大切にしたいという
気持ちに嘘はない。
「気が付かないの?」
「全然わからない」
拗ねたように唇を尖らせる君。
なんだか気まずく思っていると、
隣に並んだ君は、
遠慮がちに僕の手を握り締めてきた。
「街路樹の若葉、見たでしょ?
私たちも若葉マークだから、
同じだなって思ったの」
はにかんで俯く君。
その笑顔を心底可愛いと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます