第168話 2日目早朝の戦い

 今日、この時間こそは本気モードだ。

 ちなみに僕の狙いはあくまでサバ。

 確かに白身の魚も美味しいしカツオっぽいのも美味しい。

 でも僕はサバが好きなのだ。

 〆ているかどうか微妙なくらいのしめ鯖が。

 焼いた鯖寿司も好きだけれど。


 とまあ昨日同様。

 アラのミンチをカゴに入れたカゴ釣りで海岸から投げる。

 今日は南風、背中から風が来るので仕掛けが良く飛ぶ。


 気持ちよく遠投して気分良くなっていると。

 何と3分もしないうちにウキが動いた。

 美洋さんの仕掛けが。


 ちなみに美洋さんの仕掛けはお馴染みスキンサビキ。

 他の人が大物狙いの仕掛けに替えている今もこの仕掛けを愛用している。

「釣れない大物より、釣れる小物!」

 だそうだ。


 ただ、美洋さんは直ぐには巻かない。

 後で聞いたのだがあえて大き目のウキを付けて、沈まないようにしていたそうだ。


 そして。

 誰も動かない中。美洋さんのウキが今度こそ消える。

 美洋さんがリールを巻き始める。

 明らかに動きが小物じゃ無い。

 ただ色々加減はしている感じ。

 ドラグ緩めなのか、結構糸を引き出されては巻いての繰り返しのようだ。


 見ている間に僕のウキも消える。

 なかなかいい引きだがそれほどでもない。

 なのであっさり僕は引っ張り上げる。

 残念、小さめのソウダカツオだ。

 小さいと言っても30センチはあるけれど。


 僕がソウダカツオを取り込んで。

 カゴにアラのミンチを詰め込んで投げた頃。

 やっと美洋さんが魚を上げてきた。


 僕のソウダカツオよりやや大きい。

 ヒラマサかカンパチかブリの小さい奴だ。

 今の明るさとこの距離ではそれ以上の判別はつかない。

 魚としては上物かな。


 だが、僕の目的は、あくまでサバ。

 サバ来いサバ来いと思いながらウキを見る。

 また美洋さんの仕掛けが動き始めた。

 そしてしばらく動いた後、ウキが沈む。

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