第133話 少し不穏な気がします
テントに戻ってみると。
彩香さんが涙目で紅茶のペットボトルを飲んでいた。
「どうしたの」
「ここまで塩味きついとは思わなかったです」
なるほど。
それに気づかずつい飲んでしまったと。
口に入った程度かもしれないけれど。
「もうちょっと回復したらまた出ます」
とのことなので、僕は取り敢えず海に戻る。
海は海で未亜さんと美洋さんが何やら怪しい動きをしていた。
シュノーケル装備で浮かんだまま、時々潜るという感じ。
「少しは魚がいるのです。とりあえずキスとメゴチは発見したのです」
「獲れそう?」
つい聞いてみる。
「無理です。せめて釣り竿と仕掛けとエサと……でなければ槍みたいなものがあれば何とかなるでしょうか」
「槍ではなくて銛なのですよ」
銛は使用してよかったかなあ。
少なくとも海水浴場内では完全にアウトだと思うけれど。
「そういえばあのテント、さっきから微妙に注目を浴びているのですよ」
そう言われて。
それがうちのテントの事だと気づくのにちょっと時間がかかった。
「どうして」
「ちょっと異国風の美少女2人。1人は中学生だけれど綺麗で可愛いし、もう1人は知らなければ女子高生には見えるのです。どちらも色白でタイプは違うけれど美少女。なのでさっきから声をかけようかと男性数人が様子を伺っているのですよ」
えっ。
「なら戻らないと」
「心配いらないのですよ。2人ともそこそこ術も使えますし、本気になったら普通の男性ではまずかなわないですから」
でもそう言われると気になる訳で。
言われてみれば確かに2人とも綺麗だし可愛いし。
ちょっと海で遊びながら様子を気にしてみる。
言われてみると確かに。
妙に何度も横切る高校生か大学生風の男子がいる。
1組ではなく3組くらい。
時にはちょっとテント内を除いて見たりもしているし。
うーん。
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