第84話 装備の虫干しと点検

 テントは一度立てた事があるので簡単だ。

 まずはポール3本全部伸ばす。

 よいしょっとスリーブに入れて端を固定すれば完成。


「フライも干して下さいね」


 というのでフライを被せるところまでやる。

 見かけ以上に重い重量ブロックをペグの代わりに使って固定。


「あとその大きなバッグの中身も出して干して下さい。それは案外重いので重し無しで大丈夫です」


 というので大きいバッグを開ける。

 中に入っていたのは折りたたまれた何か。

 広げると……やっぱりカヌーだ。

 それぞれタイプが違うのが4艘ある。


「これもカヌーなんですか」

「正確にはカヤックですね。インフレータブル・カヤック。空気で膨らませて乗るタイプのカヤックです。

 今は一昔前に比べて大分安くなりましたね」


 シート等がついたまま広げて。


「さて、後は洗ったりするので家の中へ持っていきますよ。ガスなんかも点検しますからね」


 という事で一度トートバッグから出した一式はまた中にしまって。

 ごっそり家の中へと持っていく。


 ◇◇◇


 食器類はキッチンへ置いて、登攀具一式は2階の装備の部屋へ。


 そしてガス器具は、

「私が作業している間に、ガス器具は点検兼ねて使い方を確認しておいて下さいね。川俣さんよろしく」

 という事で。


 この前庭で使ったの以上に色々な種類の器具とボンベをテーブルの上に並べる。

 大きく分けるとボンベが2種類。

 ガス器具がバーナーというかコンロとランタンと呼んでいた照明器具だ。


「まず見たとおりガスがいわゆるカセットコンロ用と登山用の2種類。

 登山用の方が作りが頑丈だしコンパクトな器具で使いやすい。カセットコンロ用は強度は無いけれど安くてどこでも売っている。あとカセットコンロ用の方が大きい鍋の場合は使いやすい事が多いな。


 どっちも寒い場所では寒冷地用のガスっていうのを売っている。冬の野外はそれを使わないとすぐ火が消えたりする訳だ。


 そしてこの2種類は基本的に互換性は無い。まあ先生は両方使えるガスバーナーなんてのも持っているけれどそれは例外だな」


 と川俣先輩によるアウトドアのガス器具講義がはじめる。

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