第24話 テント設営

「さて、テントを立てて夕食の準備をしましょうか。

 靴が濡れている人は適当にその辺のサンダルを使って下さいな」

 という事で再び合宿がスタートする。


 まずは青いビニールシートを敷いて、その上にテントの本体を置く。

 ビニールシートはテント本体より微妙に小さい。

 よく見ると縫い目が元々と違う場所がある。

 どうも大きさを合わせた手製のようだ。


「何故これを敷くんですか」

「地面から上がってくる湿気や冷えを防ぐためと、テント本体の汚れを防ぐためね。雨が降った時に水が流れると逆効果だから、テント本体よりは小さめにしてあるの」


 ここからは先輩がやるのを見て真似。

 まずは中がゴム紐で繋がっているアルミ製のポールをつなげて長い棒にする。

 3本の長いしなやかな棒が出来た。


「この3本をこのスリーブに通す」

 3本を通すとちょうど*みたいな形になる。

 厳密には交差する場所が微妙にずれていて、中央は小さい三角形になっているが。


「このポールの片方をこの穴に差し込んで」

 そう言ってポールの先端を穴に差し込んだ後。

 先輩はテントの反対側に回る。


「あとは反対側をポールがぎゅっと曲がるように押し込みながらここに入れてと」

 ポールが弧を描いて固定された。

「これをあと2本やれば本体は完成」


 という訳で早速。

 1年生3人で残り4箇所をやる。

 片方を先に差し込むともう片方は結構大変。

 最後は僕がポールをスリーブ内方向へと引っ張りながら栗原さんが止める。


「あとはこれ、フライシートを被せる」

 先輩を手伝ってナイロンのテント型シートを被せる。


「あとはポールの処にこうやってフライのゴム紐を固定すれば完成」

 緑色のかなり大きなテントが完成した。


「思ったより簡単ですね」

 要はポール3本を曲げるだけだ。


「これは登山用で簡単に設営出来るようになっているんですよ。

 時間に余裕があるキャンプ用だともう少し色々手順が必要ですね。その代わり広いですけれど。

 私は簡単で耐候性が強いのが好きなので、テントは登山用を愛用しています」

 なるほどな。


「本当はこれをペグで固定するのが正式なんですけれど、私はあまりしないですね。ドーム式のテントはこれで自立していますから。

 きちんと張りたかったり風が強かったりする時はペグを打つんですけれどね。普通は中にザックとか重い物を入れてごまかします。

 本当はペグを打って張ったほうがいいんですけれどね。テントって風があると簡単に飛んでしまいますから」

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