陳粋華、職場を得る。
蘭、空、水のすべての言葉を用い、
暁空蘭花弾水、、、、、、、、、、。
<東夷訳>
暁の空、蘭の花、水を弾くように咲き乱れ、、、、。
蘭乱乱 空青青 水流流、、、、、、。
<東夷訳>
蘭は咲き乱れ、空は青々しく、水は激しく流れ、、。
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「ちこく、遅刻、遅刻、、、」
そして、そこで天子様に拝謁して任官され官吏となるのだ。しかし、どの房も
こここそ、この
多分、16歳ぐらい。
背は低め。
鼻は天を向いていて低い。村では、"
肌は地黒。
目は一重で細め。
ちんちくりんだ。見た目で良いとこ殆どない。
だから、めっちゃ勉強した。
死ぬほど勉強した。農作業もしなかったから、村の子からはちょっとどころかかなりいじめられた。
で、今年から、始まった、課挙の女性枠に登第した。
すると、途端、村人の対応が真逆になった。
神童、天才、文神の生まれ変わり、千年に一人の逸材と言われた。
天に向かってる低い鼻は、天を目指す昇竜だと村の怪しげな顔相見の老人に、言われた。
"
しかし陳粋花の天下も幾週しか続かなかった。
村では神童だったが、
正直、首都は周りの女性がみな綺麗すぎ。
陳粋華が遅刻したのも、昨晩は汎華にたった一人の天子様に会えるのかと思うと、緊張して寝られなかったのだ。
官吏の朝は早い。日の出とともに出勤で昼過ぎには帰る。
で、空が白みだしたころ、うとうととして、寝たかなと思うと、女性用の房の寝台には誰一人居なかった。
全国から集まった広い新人用の房に陳粋華一人。
ぎょえーー、起こしてくれよ。同輩の皆々様よ。村では考えられない。白状すぎ。
もう出世競争は始まっているらしい。
しかし、口は
半里ほどある、壁を巡って、拝天房の南大門に到着した。
すると、なんと。
あぎゃー。
屈強そうな番兵二人が
番兵は、黄色は皇帝の色。黄色い胴巻きをつけた、排天房直属の、まさに天子様のおわす房を守る精鋭の番兵だ。
遅刻は間違いない。
「開けてもらえませんか?」
蚊の鳴くような声で陳粋華が尋ねた。
番兵二人は、まっすぐ直視したまま、目線を合わせてくれもしない。
「陛下の
流石に、陛下という言葉には、番兵、少し、ぴくっとした。
「我らも、この門を開けぬ、ことが陛下よりくだされた命にて、ならぬ」
と、頭の良さそうな方の番兵の口から返事が帰ってきた。
「うーん」
番兵の腰にも身長が届かぬ陳粋華、まさに危機である。
その時、軽くイヤらしい女のクスクス笑いとともに、若い男の声が陳粋華の背後から聞こえた。
「開けてやれよ、みたところ、課挙登第の官吏じゃないか、初年の官吏で九品とはいえ、
「なにーっ」
睨めつけるようにして番兵がその若い男とクスクス笑いの女性を見た。
もちろん、陳粋華も振り返りみた。
背の高い、これ以上だらしなく朝服を着られるのかというぐらい、襟元の乱れた若い男と、商売女風の
若い男の右手には酒瓶。
左手は、なんと商売女風の襟元懐に入ってゴソゴソしている。そして、左手がうごくたびに、女がくすくす笑いと弱い
男は、汎民族の男の誇りである、
だけど若い男はめちゃめちゃイケメンだ。
そして、ふたりとも、猛烈に酒臭い。
この男も、官吏なのだろうか?
朝服の刺繍が鳳凰に見えなくもないが、見間違いか、、。陳粋華も勉学でずいぶんと目を悪くしたかもしれない。
そしてたぶんこの男も、遅刻である。
「てめーなにもんだ?ここをどこだと心得る?」
番兵の一人が戈を若い男にまっすぐ向けて尋ねた。
「知ってるぞ、我が弟の住む堂、楼閣ならびに、その内宮と房だ」
なんと、、、、、、、、、、、、、、。
この男は、
今の皇帝、天子、袁順の兄にして袁家の長子、素行と直言がひどすぎて、先帝の烈帝に廃された、いわくつきの男である。
横の女は、わかんないけど。
「ひーっ、
番兵二人が気づいて、戈を塀に立てかけ、大きな南大門を軽々と開ける。
「おい、官吏の娘さんよ、せっかく開けてやったんだから、早く入れ、しかし、冴えない娘だな。まるで黒豆だな、おい」
と
呼応して、商売女が合いの手でくすくす。
それにしても、ものすごい酒の匂いだ。村一の酒豪、
陳粋華は、返事をしようとしたが、廃嫡になった、皇兄に対する尊称が思いつかない。
『
「黒豆、排天房に入ります」
小さい声で、答えた陳粋華。
そして、初年官吏が並んでる一番末席の端っこに赴き、ささっと目立たぬように駆けていく。
こういうのはわるいが小さい頃から得意だ。それに陳粋華はうまい工合に体も小さく出来ている。
陳粋華が列席の横の同輩を見ると、まさにこの
今年から女性を採用しだしとはいえ、その数は少ない。
主は、文官だが、武官が少々、宦官を纏める役とされる侍官が多数。
侍官は不思議なことに全員美人に見える。
なにより、驚かされるのは、官吏初年とはいえ、年齢が雑多なこと。怖いぐらいだ。
陳粋華のような十代のものはすくなく、なかには、陳粋華の養父ぐらいの歳の大人や、腰の曲がりかけた七十代ぐらいのものも居る。課挙試験屈折、云十年の大先輩たちである。
果たして、腰の曲がった七十代の新人官吏がこの
初年官吏の教育係、人事担当の官吏が名前を続々と読み上げている。
『もうわたしのは終わっちゃったのかな』
と、陳粋華がキョロキョロして列席を見ると、ガラの悪そうな女がこちらを睨みつけた。
帯には、かなり長い長剣を
女ながら武官らしい。
『怖ぇー』
さっと奥に視線をやり、目線をそらす。君子危うきに近づかず。ああ言うやつとは関わり合わないことが得策だ。こういうのも、村で鍛えられ得意だ。
しかしなにより、陳粋華にとってショックなことは、、、
『あたしの身長が低すぎてまた、遠すぎて、天子様が見えないじゃん!!』
背伸びは何度も試みたが、駄目。眼の前は、背の高い男性の官吏だった。
飛び跳ねる、ジャンプは不敬にあたるのではないかと思い、とどまった。
とにかく、この排天房が広すぎるのだ。
おそらく、四方で半里(250m)づつあるのではないか。
皇帝、皇后様がいる、
その前に小さな堀が
その小さな川と言うか、堀に橋が掛けられ、そこから、やっと左右に文武百官が並ぶ。
天子様からみて、右が武官。左が文官となる。
この汎華帝国。何をおいても文治主義、文官が上なので、左右の左は、文官が占める。普段は、武官も金ピカの鎧兜は被っていないが、今日は式典なので、キラキラである。
陳粋華からみれば、かなり向こうに朝服と鎧を着た人が人がいっぱい並んでるな、、、程度。
これは、かなり残念だ。
天孫堂の前の天守台でも、皇帝、皇后より、その二人に差し出されている三人づつの宦官でささえる傘のほうが目立っている。
兎に角天子様と皇后様が見えない。
と、必死でいと病むごとなき際に目をやっていると、その天守台にかかる、橋の欄干に腰掛けた男が居た。
さっきの
流石に、もうあの商売女はいない。
時の権力者、で文官の一位の座に位置する
廃嫡され、出世を諦めた皇族ほど怖いものなしは居ないらしい。
新人官僚の名前の読み上げはどんどん続いていく、そして
課挙の答案の折りに、志望も書くのだが、陳粋華は
儀礼を司る部署だ。皇族の方々と接する機会が多くなると思った。
なら、侍官を目指せばいいのだが、先ほど黒豆と
学識を活かしつつ皇族に迫る、恥ずかしながら割と都合の良い女かもしれなかった。
人事担当の官吏が大声を上げた。
「
「はっ!」
返事する必要はないと、前日言われているのに、排天房全てに行き渡るかのような、大声で返事。
さっきの、長剣を穿いた目つきの悪い女である。
バカな女め、くくくくく。
『あいつ、
「
「はっ」
周囲の官吏とりわけ武官からどよめきが上がる。
黄色といえば、皇帝の色である。皇帝の周りみんな黄色だと思えば良い。めちゃめちゃいい配属先だ。
「
『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』
「礼部、、、、、」
『おお、礼部』
『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』
「
『うん!?』
礼部になにか、付いていたぞ、シシジョ!?。
うん??。礼部のすごいやつかな?。うん?。なにか足されてんのかな??。
村では、神童と言われた、陳粋華であるが、といっても
と、陳粋華が訝っているときに、天守台前の橋の欄干に腰掛けていた、陵慶王が腰の帯に結わえてあった酒瓶の蓋を開けて、ぐいと皇帝の前で一飲みした。
これには、さすがの、丞相、許適も声を上げて諌めた。
「
様ではなく、一回級下げて陵慶王"
「汎華帝国ならびに、汎民族、袁家朝廷の、ますますの発展を願い、この袁恭、いささか無礼なれど瓶のままにてまさに杯をあげんとす。皇帝陛下、万歳、万歳、
すると、文武百官は続かざるを得ない。
「皇帝陛下、万歳、万歳、万々歳!!」
「続いて、皇后陛下、万歳、万歳 万々歳!!」
と陵慶王。
さらに、文武百官が続く。
「皇后陛下、万歳、万歳、万々歳!!」
そして、陵慶王は、橋の上で、見事な
文武百官も続かざるをえない。
文武百官、一番末席に居る、陳粋華に羅梅鳳も、
一辺、半里ほどもある、排天房の皇帝に仕えるすべての官吏が一度に行う、
**********************************
陳粋華の男性レポ。
イケメン度 在 不在(男として、ありかなしか)
番兵一 負十 不在
番兵二 二 不在
袁恭 百 ちょい在 但し深酒、直しを要す。
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