第14話 二人のクリスマス

週末はクリスマスだ。このところのクリスマスは一人で過ごしてきた。今年は未希がいる。折角だから二人で食事するとか、一緒にクリスマスケーキを食べるとか、クリスマスらしいことをしたいと思った。ほしいものがあればプレゼントでもしてやろうか? 年末のボーナスは思いのほかもらった。未希に聞いてみる。


「クリスマスはどうする?」


「どうするって?」


「レストランで食事したいとか、どこかへ行きたいとか、ある?」


「アルバイトがあるから」


「遠慮するな、その分を身体で返せ! なんて言わないから。ただ、未希と一緒にクリスマスを過ごしたいだけだから」


「出かけると疲れるから、近くでならいいけど」


「それなら近くのファミレスで夕食を食べよう。23日と24日どちらの都合がいい?」


「24日なら早番で5時には終わります」


「それから近くのファミレスへ行こう。24日6時に予約を入れておこう」


「ケーキは25日に売れ残ったものを安く買えますから、ケーキを買うならその方が良いです」


「じゃあ、ケーキを食べるのは25日にしよう」


24日6時に二人で近くのファミレスに行った。ファミレスなら料理の値段は知れている。未希の好きなものを選ばせたら、チーズインハンバーグを選んだ。俺はステーキを頼んだ。ささやかなクリスマスのディナーだが、俺にとっては久しぶりの女の子とのクリスマス・イブだ。


「これで、二人が外で食事するのは2回目だな」


「火曜日に食べたばかりなのに、今週は2回もご馳走になってありがとう」


「気にするな。一緒に食べたかっただけだ。それと未希はアクセサリーを持っていなかったな。クリスマスのプレゼントだ。受け取ってくれ」


俺はポケットから指輪のケースを取り出した。それは昨日早めに退社して渋谷で買ったものだった。選ぶのに随分時間がかかったが、デザインの気に入ったものを見つけた。未希はアクセサリーを一つも付けていなかったから、何か着けさせたいと思ったからだ。


「指輪のサイズが分からなかったから、店員に聞いて適当な大きさにしたから、入る指にしたらいい」


未希は中指に嵌めてみたり、薬指に嵌めてみたりしていたが、左手の薬指に嵌めた。


「左手の薬指は婚約指輪や結婚指輪をするときだから、右手の薬指の方がいい」


未希は右手にはめ直した。そしてそれをじっと眺めていた。


「クリスマスプレゼントありがとう。これは私からのプレゼント」


思いがけなく、未希がプレゼントをくれた。


「開けていいか?」


未希が頷く。包みを開けると丁度良い大きさのグラスだった。青いガラスの模様がはいっている。


「手作りのグラスだそうです。いつも缶ビールを直接飲んでいるけど、このグラスで飲んでください。その方がおいしいと思います」


「ありがとう。そうするよ」


クリスマスプレゼントを女の子からこの歳で始めてもらった。


「明日は学校へ行くぞ。相談にのってもらえるといいな」


未希は頷いた。そして手を繋いで帰ってきた。それから学校訪問の際の打ち合わせをした。

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