第23話 約束のデート
俺のSAT (大学進学適性試験)スコアは上がった。親父も喜んでたぜ。俺だってやればできるんだ。康代とのデートが楽しみだ。俺に落とせない女なんていないからな。
康代は、俺のスコアをみて
「ロバートの成績が上がってよかったわ。これで私の役目も終わりね」
おいおい……俺はお前とデートできると思ったから頑張ったんだぜ。
「康代……約束通り、今週末に俺とデートしようぜ」
「そうね。約束だから仕方ないわね。朝11時に迎えにくるわ」
俺は康代が住んでいるアパートが見たかった。
「俺が迎えに行くぜ」
「私、週末の朝は図書館で勉強するのが習慣だから、勉強が終わってからここまで車でくるわ。ロバートが運転したいなら、ここからあなたの車で移動しましょう」
俺は、子供のようにウキウキしたぜ。当日、俺は朝早くに目が覚めた。いつものようにシャワーを浴び、髪型もバッチリ決めた。子供っぽく見られないように、ヒゲは剃らないでおこう。どうだ、鏡に映る俺の顔は、最高にイケてるぜ!
◇ ◆ ◇
10時50分に康代がやって来た。
今日に限って親父もお袋もいるが、二人は朝から大喧嘩だ。俺はあの整形・贅沢ババァが大嫌いだったから、さっさと別れろと心の中で叫んでたぜ。
二人が修羅場の喧嘩をしている最中に康代が家に入って来た。
あのババア、「慰謝料、高いわよ! 今後は、私の弁護士を通して」と泣き叫びながら家を出ていった。突然のことで康代は目を白黒させてた。
まっ、俺はスカッとした気分だったが、離婚するとはさすがに驚いたぜ。何も知らない康代がびっくりするのも仕方ないよな。
俺は、びっくりしている康代にやさしい言葉を掛けようと思い、走り寄ったんだ。「心配するな、俺は両親の離婚なんてなんとも思ってない」ってな。
そんな時だったぜ……
「康代、お前と一緒になりたいんだ。俺は真剣なんだ! 」
横から大声で親父が叫んだんだ。
俺は耳を疑った。親父のピンクの花柄ネクタイは康代のためだったのか? 康代が俺の新しいお袋になるというのか ?
嘘だろう! 俺のデートはどうなるんだよ。親父、自分の
頼むから、嘘だと言ってくれ!!
俺たち親子は、康代の顔をじっと見ながら、返事を待ったんだ。
「リチャード、結婚は私が大学を卒業するまで、できないわ。でも、一緒に住んでもいいわよ」
俺は、脳天をかち割られた。
康代は親父の恋人だったんだ。親父は、ニコニコ顔で康代を抱きしめた。
俺は……顔面蒼白で、その場に立ち尽くしたぜ。
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