短篇童話。キャラメルの箱庭

@mimoriotone

おほしさまとこもりうた

ぼくはもうすぐおほしさまになります

まどのカーテンをあけて

よるもそとのけしきや

そらのもようをみながら

きょうもおほしさまのことをかんがえています


ぼくのいるところはオーロラがみえるところです

クリスマスのよるにオーロラのそらを

いっぴきのくじらがおよぐとママがおしえてくれました

ぼくはそらからクジラのみずしぶきをみることになるんだなーと

そんなこともかんがえるようになりました

たのしみです

でもぼくのからだがきらきらひかってずっといることとか

パパとママとはなれて

ひとりでみんなのすむまちをてらさなきゃいけないこととか

さむくないのかな?とかもかんがえています

いつほしになるかはわかりません

ろうそくをもったきれいなひとがしらせにきてくれるとおしえてもらいました


ぼくはひるまのてんきがよいときはそとにでます

くじらがおよぐうみのようなあおいそらをながめて

しろいくものかたちをかえてみようとおもったりします

ぼくがすきなものにかたちがかわっていくくもをみるのが

なんだかたのしそうだな。。っておもったからです

ゆうしょくのときそれをはなしてみました

そしたらあまりはなしをしてくれないパパが

ずっとかんがえているとくものかたちはかわるんだよ

でもおなじことをかんがえているひとがこのまちにたくさんいるから

おもうようなかたちにはならないんだよとはなしてくれました

ママはおほしさまになったらクジラにはなしかけてごらんなさい?

きっとクリスマスのよるきれいにかたちをかえてくれるはずよ?

とはなしてくれました

またぼくはおほしさまになるのがたのしみになりました

でもほんとうはおほしさまになるよりも

パパとママといっしょにいたいっていったら

ママはしゃべりかたがゆっくりになって

それはざんねんだけどできないの

よいこにしかおほしさまにはなれないのだから

たのしみにしていなさい

とちいさなこえではなしていました

ぼくはよいことをしたことはあまりないのになとおもったけれど

はなしませんでした

パパはずっとだまっていました


パパとママにおやすみをいって

ぼくはオーロラをみるへやにひとりでいきました

そこにぼくのベッドがあるからです

アルコールではしるきしゃがそらをわたっておほしさまがたくさんいる

おおきなおかにつれていってくれるのだとおしえてもらいました

ぼくのまくらのはじっこにはちいさなきかんしゃのししゅうがしてあります

ほしをみながらそのおかまでながいたびをするのだそうです

なつがおわってあきがすぎるくらいのながさだそうです


ぼくはそのよるふかくねむりにおちました

ゆめからぜんぜんさめてゆかないのです

ぼくはすぐわかりました

このせかいはゆめなんだって

いつもやさしそうにわらっているパパとママがずっとないてるのです

ぼくはパパとママになかないで?って

ずっとベッドによこになりながらいってるのだけれど

こえがでないのです

こんなことはゆめのなかのできごとだとおもいます

ぼくはパパのてをにぎろうとしてママにちいさいころうたってもらった

こもりうたをうたおうとしてました

なぜだかわからないけれど

ふたりがなきやんでくれるとおもったからです

そうしたらへやのまんなかがふわっとあかるくなって

そこからふしぎなひびきでおんがくがながれてきました

でもぼくはそのきょくをおぼえてました

ママのこもりうたよりもむずかしいきょくです

ぼくはこえがでなかったのでこころのなかでうたいました

3かいくらいうたっているとめがみえなくなってしまいました

ぱぱとままのこえはずっときこえます

かなしくなるくらいずっときこえます

ママにこもりうたがききたいっておねがいしようとおもったけれど

ママはぼくをだきしめようとしていました

ぼくはかんかくがなくなりました


そしてきしゃのなかにのってました

ゆめなんだなとおもったのだけど

おほしさまになるときがきたんだとおもいました

うすいぴんくのリボンをてにもってました

それをまどのそとからなげて

ぼくはママのこもりうたをおおごえでうたいました

こえにならなかったけど

パパもママもそばにいなかったけど

おおきなこえでこもりうたをうたいました

ながいたいくつなたびがはじまる

ぼくはそうおもったしゅんかんに

しずかにきしゃがゆれました

さっきからつづいているゆめは

あいまいなよるのなかからするりと

そらのうえにきれいないろをひろげて

そのなかのひかるほしくずのようなスピードで

ぼくのそばをとおりすぎました

はねがついたようにきしゃはふわりとうごきだし

ぼくはリボンにひっぱられながらなきそうなきもちになっていました

でもなみだもこえもでませんでした

ぼくはあのへやからオーロラのうみはみれなかったけれど

きっとこんどのクリスマスはたくさんのくじらがパパとママのために

およいでくれるんだ

そうしんじていました

ママはそれをみあげて

ぼくのことをおもいだして

きっとぼくのために

こもりうたをやさしいこえでうたってくれる

そうおもいました

ママのこえがきこえたら

ぼくはクジラのほうにむかって

ピンクのリボンをひとつなげて

パパとママにおしえてあげようとおもいます

ぼくはおほしさまになりました

パパもママもとてもだいすきです

ぼくはおほしさまになりました

まだゆめをみているみたいです


fin.


mothermade antique x'letter of cake

(20180412-16)

motif from "a ribbon falls from heaven"


thanks for looking my stars

special thx @satonsaton77

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