004:『色について』
俺達『色』は、自分の色を使った攻撃が出来る。美月は風を扱える。
俺はというと...攻撃と呼ばれる攻撃は何も出来ないそうだ。
「なぁ、お前は風を使えて俺は何も出来ないってのは分かったが、何で俺は何も出来ないんだ?」
「私はお前じゃなくて美月!! 灯夜は正確には何も出来ない訳じゃないよ。色を使った攻撃は出来ないってだけだよ」
「じゃあ美月、それはどういう事なんだ?」
「灯夜は『夜』そのものなんだよ。太陽も『光』そのもの。二人は直接攻撃は出来ないの。色は石を使うしか攻撃方法は無いんだよ」
「石って? 石を投げるのか?」
「投げる事も出来るけど、それじゃあ、それきりになってしまうよ」
「じゃあ石をどう使うってんだ?」
「石=意思。石は自分の意思で動くんだよ。つまり、色の戦士達は二つ目の太陽の意思で操られているんだよ」
「じゃあ美月も石持ってんのか?」
「有るよ。ちょっと待ってて見せるから」
と、美月は胸に手を当てると、胸から眩い光を放ちながら石が出てきた。
その石はなんと表現すれば良いのやら。兎に角美しかった。
俺は、石のあまりの美しさに冗談では無く言葉が出てこなかったのだ。
「これが私の石。これがないと私達はそこらへんに有るただの色と同じ。存在はあるけど自分では何にも誰にも干渉出来ない」
「そうなのか。じゃあ俺も石出してみる」
俺は胸に手を当ててみるが光どころか何も起こる気配が無い。
「灯夜は無理だよ。だって灯夜は光じゃ無い色『黒』だから、石なんて無いんだよ」
「じゃあ俺はどうやって他の色達と戦えば良いんだよ?! こんなんじゃあ、すぐに死ぬじゃないか!!」
「死ぬかもね。灯夜に出来る事は、太陽へ逆らう事と自分自身の体を黒く染める事だけ」
「何なんだその頼りない能力は。俺はもうだめだ」
「それだけってのは嘘だよ!! 笑」
「笑ってなんだよ笑って?! 怒」
「ゴメンゴメン!! 爆」
「爆ってお前!! 絶対に俺を馬鹿にしてるだろ!! まぁ、それは良いとして、他にはどんな能力が有るってんだよ?」
「封印だよ!!」
「ふっ!! 封印だと?! なんか格好良いな」
「うん!! 封印!! 色達を光の無い夜に封印する。つまり、自分自身の中に入れるって事」
「俺の中に封印するのか? じゃあ、手っ取り早くボスを封印してしまえば良いんだよな」
「そんな簡単に封印出来るわけないでしょう」
まぁ、それもそうか。
そんな簡単に封印出来たら、こんな物語が始まるはずが無いよな。
「じゃあどうすれば良いんだ?」
「封印にはいくつか条件が有るんだよ」
美月は説明する
「敵を倒すには敵の色の半分以上を自分の色に感染させなくてはいけないの。つまり、黒に染色しなくてはいけないって事だね。そして、敵を封印すると色の石が手に入る。封印って言っても石を奪うだけで、石を取られた敵はさっき言った様に、攻撃こそできないけど、光として自分の色を持っていて、死ぬ事は無いんだよ」
「染色って...何か難しそうだな...」
「そんな事ないよ。封印する相手を黒く染めれば良いだけだよ。それに、相手の操る攻撃も相手の一部だから操る物自体を黒く染めるってのも有りだと思うよ。その相手に関係する物を半数以上黒くする。それが灯夜の封印術の発動条件って事。相手に黒いペンキをかけても封印も出来ると思うけど、そんな簡単にはいかないでしょ」
「ペンキかーそんな沢山どこで手に入れれば....」
「おーい灯夜君!! そんな簡単にはいかないって言ったばっかりですけど!!」
「ゴメンゴメン!! 冗談だよ。それより敵はどんな奴がいるんだ?」
「私の知ってる所では、太陽を含めて5人!!」
「なんだ。こういう系の物語にしては敵の数は少ないじゃん」
「安心しないで!! 灯夜はろくな攻撃出来ないんだよ」
「そうだった!!」
「まぁ、弱いけど私も手伝うから頑張ろうよ」
そう言うと美月は、無邪気な笑みを俺に見せてくれた。
何故だか分からない。分からないのだが、こいつとならやっていけそうな、そんな根拠のない事を俺は思った。
美月は続ける。
「私は月だから、夜の恩恵を少しは受けている」
「それが何だってんだ?」
「灯夜ほどじゃないけれど、封印術も使えるんだよ」
「おおー、少しは希望が見えてきたな!!」
敵の詳細はこんな感じ
赤の化身 属性『火』
緑の化身 属性『木』
青の化身 属性『水と空』(デュアル属性)
太陽の化身 属性『光』
「こんな所だね」
ん? 五人って言っていた筈が、なんか一人足りなくないか? と思った事だろうが、朝日が昇り始めて美月が慌てて帰ってしまったから、今回はここまでという事で。
......ん? 美月が何処に帰ったって?
それが、俺もよく分からないんだが、「また来るよ」とか言いながら俺の影に入っていった様に見えたんだが...
まぁ、気にせず今回は寝る事にしましょう。(zzZZZ)
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