第10話 ようやく異世界へ
「ふるちんさんの服を全部脱がせて。あと記憶をお風呂に入る直前まで戻して。これでいいかな?」
*
扉の開けた先はサルディスの城下街。その民家の一室だった。
一目でそこが異世界だと気づいたのは食事中の二人の女性の姿を見た瞬間だ。テーブルに座って朝食を取る二人。メニューはオートミールと呼ばれるシリアルの一種と牛乳、焼いたソーセージ。
片方は12歳くらいの少女。私、魔法使いです!と全身で自己主張する恰好していた。緋色のローブと緋色のマント。そしてとんがりコーン帽子。黒い髪は短く、肩まで届いていない。
もう一人は女騎士?それとも女剣士?女戦士?女闘士?よくわからない。とにかく戦士系だろう。同じく黒髪だが、こちらはお尻の少し上くらいまで伸びたウェーブの艶髪。
金属製のガントレットとグリーブを嵌めている。
逞しい腹筋の女性である。それがわかるのは。
彼女がいわゆるビキニアーマーというものを装着しているからだ。それもマイクロビキニと呼ぶにふさわしいもので、元々防具としての機能を果たしていないビキニアーマーが本当に身体の必要最小限の部分だけを覆う一体何の役に立つのか分からないの金属板でしかない。、
・・・いや。いるな。ここにもう一人。
その必要最低限の部分すら覆ってない人間が。
ドゴンッ!!!
魔法使いの少女は実戦経験がないのだろう。自宅の洋服ダンスからいきなり現れた全裸男に驚き戸惑い、あんぐりと口を開けたまま焼きソーセージの突き刺さったフォークを床に落とした。
しかし。
俺と同じくらいの年頃の女戦士?はそれなりに場慣れしていたようだ。
突如自宅に現れた不審人物に素早く対応する。
まず牛乳の入ったコップを俺の顔面にぶつけ、目つぶしをした。そして俺の腹に拳を叩きこむ。もし、彼女が武器を持っていたら心臓なり首なりを持っていかれていただろう。
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