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吾妻栄子

蝶を吐く

「青い蝶が見たかった。でも、私もうすぐ死んじゃうの」


少女の言葉に、白衣の青年は静かに息を吐く。


瑠璃色の蝶が飛び出す。


「わあ、綺麗」


触れようとした瞬間、輝く蝶は消えた。


「これは幻。本物はもっと綺麗だよ」


青年は微笑む。


「だから、まだ君はこっちに来ては駄目だ」


*犬井作さんの創作企画「蝶を吐く」への参加作品です。

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