ドラゴンブックの既刊本について

 ドラゴンブックからはTRPGを始めとした様々な本が出版されていますが、看板作品は何なのでしょうか?


 公式サイトを見てみた感じですと『ソード・ワールド2.0』であるように思いましたが、Amazonのランキングも参考にしてみましょう。

 富士見ドラゴンブックのランキングは以下の通りでした。順位、作品名、著者名、出版形体の順に10位まで並べていきます。


(Amazon――富士見ドラゴンブックの売れ筋ランキング(2018.4.15.19:27時点)より抜粋 https://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/books/2220901051)

1位 ソード・ワールド2.0ルールブックI 改訂版 北沢 慶 文庫

2位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン3  海羽 超史郎 Kindle版

3位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン1  海羽 超史郎 Kindle版

4位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン2  海羽 超史郎 Kindle版

5位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 円環連鎖のウロボロス1  海羽 超史郎 Kindle版

6位 アリアンロッドRPG2E ルールブック (2) 改訂版 菊池 たけし/F.E.A.R. 文庫

7位 ダブルクロス The 3rd Editionルールブック1  F.E.A.R. 文庫

8位 ソード・ワールド2.0ルールブックII 改訂版 北沢 慶 文庫

9位 ダブルクロス The 3rd Editionルールブック2 F.E.A.R.

10位 ソード・ワールド2.0 ルールブックIII 改訂版 北沢 慶


 ……。


 な ん か 思 っ て た の と 違 う 。(笑)


 シュタインズゲートは2018年4月からシュタインズゲートゼロがアニメ放送されていますしその影響もあるかもしれませんが、そもそもシュタゲのノベライズがドラゴンブックから出ている事を知りませんでした。加えて、ルールブックは文庫で刊行されていますが、シュタゲはKindle版です。

 ちょっと不安になったので時間を置いて再度確認してみます。


(Amazon――富士見ドラゴンブックの売れ筋ランキング(2018.4.16.8:02時点)より抜粋)

1位 ダブルクロス The 3rd Editionルールブック2 F.E.A.R. 文庫

2位 ソード・ワールド2.0ルールブックI 改訂版 北沢 慶 文庫

3位 ダブルクロス The 3rd Editionルールブック1 F.E.A.R. 文庫

4位 ソード・ワールド2.0ルールブックII 改訂版 北沢 慶 文庫

5位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン2 海羽 超史郎 Kindle版

6位 アリアンロッドRPG2E ルールブック (2) 改訂版 菊池 たけし/F.E.A.R. 文庫

7位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン1 海羽 超史郎 Kindle版

8位 アリアンロッドRPG2E ルールブック (1) 改訂版 菊池 たけし/F.E.A.R. 文庫

9位 ソード・ワールド2.0 ルールブックIII 改訂版 北沢 慶 文庫

10位 STEINS;GATE‐シュタインズゲート‐ 比翼連理のアンダーリン3 海羽 超史郎 Kindle版


 Amazonは1時間ごとにランキングを更新しているようですが、一晩で順位が結構変動していました。まあ、相変わらずシュタゲは複数ランクインしていますし人気の作品である事は間違いないのですが。

 

 次に、最近刊行されたり予約されたりしている本のランキング――Amazonにおける富士見ドラゴンブックの新着ランキングを見てみます。このランキングは5位までしか掲載されていなかったので、1位から5位を載せておきます。


(Amazon――富士見ドラゴンブックの新着ランキング(2018.4.16.8:14時点)より抜粋 https://www.amazon.co.jp/gp/new-releases/books/2220901051/ref=zg_bs_tab_t_bsnr)

1位 ダブルクロス The 3rd Edition ルールブック 2 矢野 俊策 Kindle版

2位 ダブルクロス The 3rd Edition ルールブック 1 矢野 俊策 Kindle版

3位 ソード・ワールド2.0魔法文明リプレイ 黄昏の国の魔法王 北沢慶/グループSNE Kindle版

4位 グランクレストRPGルールブック 2 矢野俊策/チーム・バレルロール Kindle版

5位 グランクレストRPGルールブック 1 矢野俊策/チーム・バレルロール Kindle版


 こちらにはグランクレストが入っていますね。また、ランクインしている全ての書籍がKindle版でした。


 上記のランキングから、現在の看板は『ソード・ワールド2.0』、『ダブルクロス』、『アリアンロッド』。そこに『シュタインズ・ゲート』と『グランクレスト』って感じでしょうか。また、電子書籍を積極的に売っていこうという姿勢も伺えます。


 シュタインズゲートは5pb.が原作ですが、ノベライズ作品の内容に関してはほぼオリジナルみたいです。Amazonのレビューでは中々の高評価でした。

 著者の海羽 超史郎氏は過去に電撃大賞でデビュー。一時期執筆を止めていましたが、最近になって上記のシュタゲで復活したようです。そのため、5pb.は監修くらいの立ち位置だと思います。そう考えるとシュタゲも立派なドラゴンブック発の小説と言えるでしょう。


 他にも何かゲームのノベライズがあるのか探してみた所、『チェインクロニクル(セガゲームス)』、『キャサリン(ATLUS)』、『モンスターハンター フロンティアG(CAPCOM)』、『ダンガンロンパ(スパイク・チュンソフト)』などが見つかりました。

 また、リプレイブックの中には『メタリックガーディアンRPGリプレイエグゼクス 黙示録の勇者、誕生!(https://www.kadokawa.co.jp/product/321511000452/)』のようなロボット物も見つかり、ドラゴンブックの幅広さを実感できました。



 ここでふと、私の中に疑問が浮かんできました。



――今回のコンテストは「ドラゴンブック新世代ファンタジー小説コンテスト」だけど、ドラゴンブックは思ったよりも色々なジャンルを出してるし、



 コンテストの序文では、『長らくファンタジー文化に携わってきた私たちですが、現在の多彩なファンタジー小説が百花繚乱の様相を呈する「ファンタジー黄金時代」をさらに盛り上がるために、新たな単行本小説レーベルを準備しております。』と述べられています。

 今までにもジャンルの線引きに関しては様々な物議がなされてきました。そして、最近はよりジャンル区分が難しくなってきたとも私は感じています。


 では、ドラゴンブックのファンタジーを体現した作品が『ソード・ワールド2.0』、『ダブルクロス』、『アリアンロッド』だと仮定しましょう。

 その上で、それぞれの作品はどのような世界観を持っているのか見てみます。


――以下富士見書房公式TRPG ONLINE『ソード・ワールド2.0』より引用

その「人族」の中で、"冒険者"と呼ばれる連中がいます。彼らは特定の国家や組織に所属することはせず、剣一本・自らの魔法の力のみを頼りに、この戦乱の世界を渡り歩く者たちです。

弱い人たちに頼まれて怪物を退治し、古代遺跡を探索して宝や失われた技術を復活させ、

そして「蛮族」の野望を打ち砕く。

戦いと混乱の世界に生まれたアウトローヒーローそれが冒険者なのです。

貴方は冒険者となってラクシアで数々のミッションをこなしていく事になります。

ミッションをクリアし、お金を貯めて装備を充実させ、経験値をためてレベルアップし、ラクシアでヒーローになりましょう。

――以上

(https://fujimi-trpg-online.jp/game/sw.html)


――以下『ダブルクロス』公式HPより引用

『ダブルクロス』の舞台は、一見我々の住む現代世界と同じように見える近未来。

 人々は学業や仕事に努め、友人や恋人との時間を過ごし、世界情勢を遠くに感じながら、日々の暮らしを営んでいる。

 しかし、そんな日常の裏には秘密が隠されていた。

“レネゲイド”と呼ばれる特殊なウィルス。そのウィルスに感染することで超常能力を得て“オーヴァード”と呼ばれる存在になってしまった人々。彼らによる事件は日増しに増大し、各国政府はひとつの組織の提唱により、レネゲイドに関する情報を封鎖・秘匿した。

 キミはその中でレネゲイドの真実を知ってしまったひとりとして、日常の裏側を歩いてゆくことになる。

 かろうじて保たれている日常を護るために、超常の力を使って戦う。人としての理性を削ることになっても、それでも護りたいもののために──。

――以上

(http://www.fear.co.jp/dbx3rd/index.htm)


――以下『アリアンロッド』公式HPより引用

 映画、小説、コミック、ゲームなどで、もはやお馴染みとなったファンタジー。

 剣を構えた戦士や、さまざまな魔法を操る魔法使いが、伝説で描かれているような怪物と戦いを繰り広げる物語は、国内海外を問わず人気の高いジャンルです。

『アリアンロッドRPG 2E』は、そういった我々が住む現実とはまったく異なるファンタジー世界──“エリンディル大陸”と呼ばれる世界を舞台としている“テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム”(TRPG)になります。

 プレイヤーの分身とも言えるプレイヤーキャラクター(PC)たちは、秘宝を手に入れるために遺跡を探索したり、魔物退治を依頼されたりと、この世界でさまざまな冒険を行います。

――以上

(http://www.fear.co.jp/ari/)


 『ソード・ワールド2.0』、そして『アリアンロッド』に関しては問題なくファンタジーだと多くの方が頷けるでしょう。

 しかし、『ダブルクロス』に関してはどうでしょうか?

 なろうで言うローファンタジーではあっても、今回のコンテストで求められている作品像とは違うかなあ、と思う方もいらっしゃるのではないかと思います。

 コンテストのキービジュアルを見てみても、妖精にエルフに剣を携えた冒険者風の少女です。これは誰もが「剣と魔法の世界」=ファンタジーだという先入観の元で作品を応募すると考えられます。


 では、今度はコンテスト詳細ページで挙げられている募集作品について見てみます。


――以下コンテスト要項より引用

募集作品

下記のいずれかの条件を満たしているファンタジー小説


・魅力的なワールド、魅力的なキャラクターを備えている小説

・大人が興味を持つテーマを取り扱った小説

・現代社会の要素をファンタジー世界に反映した小説

――以上



 ここまで本エッセイを読んで下さった方なら、今までと少し違った捉え方もできるのではないでしょうか。



――もしかして、ドラゴンブックの考えているファンタジーってのファンタジーなのでは?



 随分と長くなってしまいましたので、今回はここまでにします。

 次回は『偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ』、『クトゥルフ神話 探索者たち 鈴森君の場合』などのドラゴンブックが関わったカクヨム発の作品を参考にしながら「ドラゴンブックの考えている”新世代ファンタジー”について」考えていきます。

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