詩を紡いで

第47篇I am Laughing

私の兄弟があなたの兄弟であるようにあなたが彼らの兄弟であるように

彼らの兄弟が私であるように世界は一家人類は皆兄弟

ブ男が間違えて更衣室の扉を開けてしまったって

キャアキャアわめくことはないし

偶然風呂場が見えてしまったって騒ぐ程のことじゃない

いつの間にか晴れになっている夏の女は初々しく

どしゃ降りのシャワーの爽快感は出来立てのハンバーグ

ああ可哀想な真珠郎

彼らは小心者だった

彼女らは達人だった

僕は異邦人だった

汗、香水、シャンプー、映画館の冷房

午後の気怠い感覚

十二単のかまびすしいお庭で焚き火をしている

準備に戸惑うX星人を真似てごらん

大きな虫と仲の良い少女を見習ってごらんよ

僕は笑っている

川面に腕をつける夫婦はバスに乗りたがる気質で

テレビに洗脳されプール通いの少年は

蜜柑に手を濡らす食べ頃のバナナ自転車見張り番の横目

楽しい1週間

楽しい1週間

バベルの塔によじ登る風見鶏と俳優

ビルの歩道は学校に繋がる

暖かい机との夜明け

くすぐりっこと年末ゲームパレードの浄化

不完全アウトドロップ達の巣で紙飛行機が飛び交いお湯が跳ねて

騒音がけたたましく

人の良いレリちゃんのように振る舞うのを見てごらんよめげるのを見てごらんよ

僕は笑っている

僕は笑っている

僕は笑っている

僕は笑っている

ピアノの旋律 水の音

赤恥晒しの夏休み 早く終われよ運動会

機械音が鳴り響く夜

白衣の女が薄笑いを浮かべている

制服の女の子が戯れている

オカマが自転車に乗っている

参考書を肴に酒を飲んだ塀渡り自己記録保持者の安易な発想

マリア様の微笑みのありがたみ

はっはは太宰治のロウテンションに浸かるべきだったよ

かき氷が歯に染みる猫のじゃれ合いは二段ベッドの上の数学

ガキ大将になり下がっているこの世の歪みぎこちない動きの恐竜

歩道橋の上で

泣きじゃくるのを見守り

「青春だね」あなたが答える

ドラムが鳴る音を抗議する眼鏡の親父が気張ってるパーマ頭がにやけてる

ああ君は未練がましかったんだゲタの音を録音してしまってる

三角形が待ち遠しくレコードは重なり本は重なる

万年床外の騒音隠密地帯

お寺が並んでる並みに吹き飛ばされてる

夢見る頃を過ぎていても遊ぶのを試してごらん

腕力にこだわるファッションブランドを見てごらんよ

僕は笑っている

僕は笑っている

僕は笑っている

僕は笑っている

1985(S60)6/7(金)