第2話花を待つ人 (1)
「な、なんですか?」
少女は顔を真っ赤にしてオルメカを見上げる。彼が話しかけると、大抵の女はこういう反応をした。彼はお得意の笑みを顔に貼り付けて、
「ラザナルという町がどこにあるか知りませんか?」
と聞くと、少女は顔を更に赤くしてコクコクと頷いた。
「向こうの方にずっとまっすぐ歩けば着くと思います。」
オルメカはそう教えてくれた少女の頭をポンポンと軽く撫でて、
「ありがとう」
と礼を言い、その場を去ろうとした。そのとき、後ろから少女が彼の袖を引っ張った。彼が首をかしげると、少女は少し下げていた目線をぐっと上げた。
「あの、オルメカさんですよね……?」
「そうですよ。」
彼がそう答えると少女は恥ずかしそうに目を伏せて、
「私からも花を貰って頂けませんか?」
と問う。彼は少女をまじまじと見た。あまりかわいいとは言えない少女が彼に告白まがいの言葉を贈っている。それを見ていた周りの少女たちはひそひそと耳打ちをし合った。
「場所を移動しましょうか?」
彼はちらりと少女たちに視線をやり、その少女を好奇の目から庇うように連れていった。
「お名前を教えてくれますか?」
少女は彼の言葉に少し驚き、小さな声で、
「ラーニャです……。」
と言った。
「いい名前だね。どうして花を取り出したいのか、教えてくれませんか?」
彼が質問ばかりでごめんねと頭を下げると、ラーニャは慌てて頭をブンブンと振った。
「こちらこそすみません。無理なお願いをしてしまって……。その、理由のことなんですけど……。」
彼がうんと頷くと、彼女は安心したように話し
始めた。
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