第21話 神帝暦645年 7月30日 深夜

 うーーーん。暑くて寝つけないなー? 夏も本番ってところなんだろうなー。明日は8月1日だしー。


 てか、お父さんとアマノさんは8月から忙しくなるって言ってたのに、まだ、あたしの部屋から廊下を挟んで向かいの寝室で、ギシギシとベッドを鳴らしているよー? いい加減にしてほしいよー。


 お父さんは、10年前に、あたしを娘として迎えてくれてくれたのは良いけど、そのせいか、こぶ付きと見られて、お父さんは女性から敬遠されてたみたいなんだよねー。


 それでもだよー? 2年ほど前まで、お父さんの眼の前にまったく良い人が現れなかったからって、それを取り戻すかのように、我が家が崩壊しそうになるくらいに、ギシギシと揺らすのはやめてほしいところだよー。


 でも、アマノさんは、あたしも羨むくらいに器量の良い女性だから、お父さんがぞっこんになるのも仕方ないんだろうなー。掃除、洗濯、料理、どれをとっても、あたしよりも上手くこなせちゃうところがすごすぎるよー。


 まあ、でも、可愛さとしたら、あたしの勝ちかなー? なんたって、先日30歳を迎えたアマノさんと違って、あたしはお肌が水を弾きまくる16歳だもんねー!


 でもなー。あたしがアマノさんに決定的に負けているところは、やっぱり、この胸なんだよねー。中等教育時代からの友達で、世の中の男性の中には、大きいのは感度が悪いだけだとか、胸が小さい女性のほうが好きだって言っている失礼極まりないやからがいるのですわ! とか友達のランカちゃんが愚痴ってたっけー。


 だけど、それは、その男子がそういう趣味なだけであって、お父さんは、あたしより大きな胸を持っているアマノさんを選んだんだよー? やっぱり、男は女性の大きな胸のほうが喜ぶって、あたしは思っちゃったわけー。


 この前、あたしの友達のひとりである、胸が大きなランカちゃんに、どうやったら、胸が大きくなるか聞いたら、それは牛乳を毎日たくさん飲むのが良いわよ! って力説されたんだよねー。それから、あたしも胸を大きくするべく、毎日、1リットルも牛乳を飲んでいるんだけどなー?


 うーーーん。もしかして、牛乳を飲むだけじゃ足りないのかなー? 今度、ランカちゃんに会ったら、他にも秘訣があるんじゃないか、聞いてみよーかなー?


 でも、あたしの胸が大きくなったところで、今更なのかなー? うーーーん、どうなんだろー?


 って、やっと、隣のお父さんたちの寝室から、ギシギシ聞こえてくるのが止んだよー。本当、そろそろ、この中古の家が崩壊するんじゃないかって、心配になってきたよー。いい加減、注意するべきなのかなー?


 でもなー。お父さんの人生で初めてやってきたこの世の春だしなー? そういうことは言わないほうが良いのかなー?


 うーーーん。お父さんが幸せなら、それはそれで良いのかもしれないしー。


 さって、あと10分ほどしたら、2人とも寝ちゃうかなー? てか、早く寝てほしいなー? そうじゃないと、あたしが寝る時間が削られちゃうしー。アマノさんに教えてもらった【自慰】ってのを一度、試してみたいんだよねー。


 でも、アマノさんが、なるべくなら、私たちが寝静まった時にこっそりとやったほうが良いのですわ? と言ってたもんねー。なんでだろー? アマノさんが言うには、つい声が出ちゃうからって言ってたなー?


 うーーーん? どういうことなんだろー? こんなところ、触ったからって、声が出ちゃうものなのー? だって、おしっこが出るところの近くを触るだけなんだよー? おかしな話だよー。あたし、もしかして、アマノさんに騙されてるー?


 あっ、そんなことを考えてたら、2人とも寝ちゃったのかなー? お父さんのいびきが薄っすらと聞こえるしー。


 アマノさんって、すごいなー。壁を2枚挟んでも、聞こえるくらいのいびきをお父さんがしてるのになー? よく同じ部屋で寝れるもんだよー? もしかして、風の魔法を使って、お父さんのいびきが自分の耳に入らないように工夫してたりしてー?


 まっさかー。でも、今度、アマノさんに聞いてみようかなー? もし、お父さんたちと一緒にクエストに行って、寝室が同じとかになった時に、重宝しそうだしなー?


 こう考えると、世の中の女性冒険者って、すごいよねー。男性ならともかくとして、場合によっては、キャンプを張って、そこで野宿なんだよー? モンスターが徘徊しているような街の外で、よくもまあ、寝ていられるもんだよー。


 アマノさんの肝が座っているのは、10年以上も冒険者稼業を続けているおかげなのかなー? むむむーーー。年頃のあたしが見習うべき点なのか、悩むところだよーーー。


 まあ、出たとこ勝負だねー。そもそも、お父さんの反対を押し切ってまで、冒険者の世界に飛び込んじゃったのは、紛れもなく、あたしの意思なんだしー。今は訓練の日々だけど、8月に入れば、人生初めての冒険者として、モンスターたちを千切っては投げて、千切っては投げての大活躍を行うことになるんだからねー。


 楽しみだなー。いったい、お盆侵攻では、どんなモンスターと出くわすのかなー? なるべくなら、水の猫オータ・キャットとか、火の犬ファー・ドッグとかとは闘いたくないなー? でも、お盆侵攻では、そんな普段、ニンゲンを襲わない動物たちも、悪い影響を受けて、闘いを仕掛けてくるって、お父さんが言ってしたしなー?


 さてっと。そんなことは置いておいて、ちょっと、触ってみようかなー? アマノさんは濡れちゃうから、パンツは脱いだほうが良いって言ってたけど、そもそも濡れるってなんだろー? いきなり直接触るのは、怖い気分もするし、今日はパンツをはいたままで良いっかー。よーーーし、女は度胸だよねー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る