第4話 奪われたチェイスの……。
「マーガレット、その辺にしておきなさい」
何と言う美声、女性達が次々と振り返る程のイケメン。魔の国のオリビアとは、また違う軍のリーダーのエリアだ。魔の国の紋章が入っている手袋をしながら、こちらに近付いてくる。
「はぁ?なんで、アンタに指図されないといけないワケ?邪魔、私今幸せ満喫してるの」
「あ!エリアちゃんっ!!久々だね」
死にそうな顔でエリアに、声をかけるシェリルにこほんっと咳払いをする。
「リルちゃ・・・さま。ここで、その様な呼び方は・・・」
「ちなみに今、逃げようとしてるのがチェイスよ」
オリビアは、この場からと言うよりエリアから逃げようとしているチェイスを指差した。
「ば、バカっ!!オリビアっ!!」
まるで、怯えた猫のように恐る恐る後ろを振り返るとすぐ傍にエリアが息を荒くして立っていた。
「チェイスくぅぅぅぅぅぅうぅうんっ!!久々ね!!元気だった??」
「え、エリア・・・さん」
怯えの余り、敬語になってしまうチェイス。
「やだわん。チェイスくんったら、私とアナタの仲じゃない・・・ね?」
顔を近づけてくるエリア。そんな二人を見たマーガレットが、彼を睨みつける。
「気色悪い・・・。この変態医師め・・・」
そう、エリアは魔の国で有名な医師なのだ。特に、男性には念入りに健診する為魔の国では出来るだけ、怪我も風邪も引かないようにしていた。
「あらん。アナタだって、私と似たもの同士じゃない!!」
片手で、チェイスを人形のように持ちもう片方の手でマーガレットを指差す。
人が、増えてきた。
「はぁ?私と、エリアが同士?笑わせないでよ。私は、女の子が好きなの。てか、やけに良い声と顔面無駄遣いだから自分の事、整形手術でもしたら?」
「アナタのことを整形手術いてあげましょうか?その隠してるヒョウ耳としっぽ・・・切り捨ててあげるわよ」
帽子で隠されていて、良くわからないがよく見るとひょこっと顔を出すヒョウの耳。彼女は、ヒョウと人間のハーフのキメラだったのだ。
けして、オリビアとシェリルを離さないマーガレットと、チェイスを離さないエリア。喧嘩は、高まる。
「どうしようか、シェリル・・・」
「んーー・・・そろそろ、来てくれると思う」
「誰が?」
喧嘩がとうとう殺し合いになってしまう瞬間だった。
さながら、風のように二人の間に入り二人にデコピンをする見覚えのある白衣姿。リアムだ。
「はい、ここまで。会議が始まりますよ」
「ちょっ!!!先生っ!!良いところだったのにっ!!」
ぶぶーっ!!と、口を尖らせるマーガレットに眼鏡をくいっと上げてから軽い殺気を放つ。すると、怯えるようにオリビアとシェリルを離す。
「いい子です」
「あーあ。気が萎えちゃった・・・じゃあ、会議後にまた話せたら話そうよ~オリビア」
「会わない様に頑張るわ・・・」
「なによそれーっ!!まぁいいわ、じゃあね」
苦しそうに首を押さえながら、元気に去っていくマーガレットに手を振るオリビア。
「あーらん。マーガレットも行っちゃったし、会議も始まるし私も行くわん。またね、チェイスくん」
「あー・・・はいはい。また・・・んぐっ!?」
内心『ささっといけ』と、思いながら手を振っていると手を引き寄せられエリアは、彼の唇にキスをする。
「うふっ。奪っちゃった。じゃあ、また会えたらねん」
思わず、床に倒れこむチェイスを見て、手を合わせてお祈りをしたリアム。と、爆笑しそうなオリビアと、何気にショックを受けているシェリルだった。
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