第18話「最嘉と三つの懸案」後編(改訂版)
↓京極 陽子&久鷹 雪白のカットです↓
https://kakuyomu.jp/users/hirosukehoo/news/1177354054892612224
第十八話「
「
思案する俺を見て、
――食えない男だ。
「反乱の可能性がある以上捨て置けないだろう、そのついでにそれは片付ける」
「ふむ、なるほど……流石、
「……」
大げさに俺を持ち上げる?
「では、
――ああ、そうか……なるほどね
計算高い男、
「……
もったいぶった
「これは!……ふぅむ、少々驚きました」
「卑怯だの姑息だのと評する輩が居りますが
「……」
――俺だって同じだ……なるべくならそう言うことはしたくない
――でもな、これは戦なんだよっ……
「さしあたり、罪を被って貰うのは立場的にも知名度的にも……
俺は心情とは別に
「ふむ、ご名答!付け加えるならば、
俺の推測に、
――よく言うな、
「……」
俺は呆れながらも頷く。
確かにこの手の不平不満を手っ取り早く片付けるには、前任者である前
前領主が悪逆の限りを尽くしていたから生活が悪かった、経済が治安が悪かった、ひいては世の中が悪かった、だから今度の新しい支配者は悪を葬って自分たちの領国をより良い国にしてくれる。
そう吹聴するのが一番効果的だ。
俺にしても、戦後処理の利用を考えて、
「そう渋い顔をされますな、新たなる
「
それは俺も
「そんな輩を新たな
嬉嬉として語る
「……ほんとによく言うな、俺が
呆れ気味の俺の言葉に、
「ふむ、それは……現在臣下たる私めには何とも言えませんな……ただ、領民にとって国主は……心がけしだいかと」
ああ……そうだ、ここの価値観だけは、この
「ああ、心がけよう……」
俺の言葉に頭を下げた
ーー
ー
そして、入れ替わりに
「
兎に角、明日は”
「ああ、世界が再びこっちに切り替わる早々に俺は
そんなことを考えながら、俺はそう言って次週に向け、
ーー
ー日付が変わり世界が変わる金曜日
チュンチュン……
――鳥の……さえずり……
「……」
――ここは私の……部屋?
私は少しぼうっとする頭で、ベッドの上から周りを見回した。
同じ……
先週、
その後世界が
同じ場所、同じ風景。
私がそうしている間にも、カーテンの間から朝日が差し込む薄暗い部屋には小鳥のさえずりとカチコチという未だ用を成していない目覚まし時計の一定のリズムが響いていた。
――随分と早く目が覚めたみたい……
「……んっ」
小さく背伸びをしてから。
――いつもはもっと寝起きが良い方なのだけど……
私はいまいちハッキリしない頭を軽く振ってベッドから立ち上がった。
「っ!」
途端に左の肩口に痛みが走る。
――そうだった……斬られたんだ……あの……男に……
当たり前の事を今更思い出す私。
戦国世界と近代国家世界、そこに住む人と、その人の記憶と経験のみが共有される別々の世界。
向こうでの死は
向こうでの負傷も、勿論
「……」
私はパジャマのボタンを二つほど開放して、傷ついた肩口を確認する。
――大した傷じゃ無かった
肩当ての上から
勿論、
でも治療自体は済んでいるから改めてこっちで簡単な処理をすれば良いし、何より傷が浅かったのもあって、痕は残らなさそうだ……
「……」
痕が残らない……
その事に私は少し安堵していた。
戦場に立つ一人の戦士として、そんな軽微なことを気にするのは滑稽だけど……
それでも私は……
私は、
――って!
あぁ、何を考えているのかしら!私って……見られる?……っ!!
独りの部屋で独り自分の肩を見ながら赤くなる私……
「……ふぅ」
やはり
正直少しハードだったから……
カーテンを閉めているから部屋は未だ薄暗がりの中だ。
「……ぁ」
ふと視線を移動すると、薄暗がりの中、机の上でチカチカと点滅するスマートフォンの光が見えた。
――着信?メール?こんな早朝に……
私はそこに移動して、それを手に取った。
「……っ!」
薄暗い部屋の中、浮かび上がるスマートフォンの画面に並ぶ……
幾つもの着信履歴と……未読メールの数々。
幾つも……幾つも……五分おきに……全部で数十件……
「…………」
私は何だか……そう、なんだか可笑しくて口元が緩んでしまっていた。
「ふふ……ストーカーみたいだ…………
まだカーテンも開けていない薄暗い自室の中で……
「……ふふ」
それを抱きしめ、へたり込んでしまった私の頬にはポロポロ涙が零れて……
暫くの間は返信も出来ないのだった。
第十八話「
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