第36話「最嘉と魔眼の姫」前編(改訂版)
↓京極 陽子&久鷹 雪白のカットです↓
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第三十六話「
「ただの客将じゃないでしょう?貴方にとって」
「うっ」
――と言うわけで、時系列はここに戻ってくる訳だが……
黒髪の美少女、
「ふぅ、流石に
白い額に指を添え、あからさまに
「……」
因みに、今ここに居るのは俺と
俺の連れてきた
我が陣営で待つ副官、
「…………」
俺は返す言葉も無く……
「……まぁいいわ、
黙りを決め込む……というか、どう答えたものか解らない俺に、
――そうだ、
答えを聞いても仕方が無い。
そもそも聞いても意味が無い様な雑事は、未練無く切り捨てられる。
効率の良い取捨選択は、策士として、国政を預かる者として貴重な才能だろう……
――流石、
「
含みをたっぷりトッピングした暗黒天使の微笑みを俺にプレゼントする超絶美少女。
「…………」
――前言撤回……
「だから、なんでそうなるっ!……
俺の当然の抗議を受けた暗黒の美姫は、艶めかしい
「そうね、だからこそ”一番”をハッキリさせておくべきでしょう?
――な、なんて情報をブッ込んでくるんだ
それになんだその上から目線……は、いつも通りだけど、
「いや、きゅ、求婚したのは一回だけだし、そもそも泣いても
俺の反論は勿論真実だが、何故かしどろもどろで嘘臭い。
「さ、さいかはわたしの手を何度も握ったし!……その、あの……スカートの中にも……顔を……」
「うぉっ!?」
――なに参戦してんのっ!?この白いお嬢さんは!
頼む……話が余計ややこしくなるから黙っててくれ……
「……」
「……」
黒と白、お互いが所持する至高の
「
「さいかぁぁ!!」
そして、その
そのまま不満の色に染まり捲って、加害者の様な
「…………勘弁してくれ」
――かたや
漆黒の
ゆるやかにウェーブがかかって輝く腰まで届く降ろされた緑の黒髪。
そして白く透き通った肌と対照的な
――かたや
輝く銀河を再現したような
白磁のようなきめ細かい白い肌と整った輪郭、それに応じる以上の美しい顔立ち。
その白い肌を少し紅葉させた頬と控えめな桜色の唇は不満げに結ばれた状態だ。
「
「さいかぁ!?」
「いや……
普通ならこんな美姫二人に見つめられるのは至上の喜びなんだろうが……
今は……正直拷問だ。
「……」
「……ふふ」
困窮する俺の顔を
「っ!?」
――だ、駄目だ……あれは”ガシガシ行くぜ!”の作戦がチョイスされた顔だ!
俺の希望は”呪文つかうなよ”か”命大事にね(主に俺の)”だが……
あの暗黒少女の顔は、それを全く考慮する気が無い顔だ。
そして、予測通り……
暗黒姫はふふっと微笑んでから
「私は抱きしめられたわ……背骨が折れるほど情熱的に……」
態と作ったウットリ顔で俺を見る性悪美少女。
――うう……てか解ってはいるが……か、可愛い……
「!?」
――じゃなかった!!
「お前からだろ!それは!……そもそも、どちらかと言うと、情熱的というより脅迫的だったしっ!!」
「あら?そうだったかしら?」
俺の抗議も全く意に介する事無く、ウットリとした表情を継続して
「さ、さいかはわたしのスカートの中に頭を入れて足を触ってきたよっ!」
――は?
「
「何度もな、なんども……それで、それで……”
「”フッ”って誰だよそれっ!お前の中で俺はどんなキャラだ!?てか、そんな事より!お前ドサクサで捏造すんなよっ!」
「む、むぅ……」
「……」
「……」
再び睨み合う黒と白の美少女……
――滅茶苦茶だ……
――怖い……なんて怖いんだ……本人を前に開き直った
「お、おい、お前らいい加減に……そんな捏造上等の情報戦よりこれからのだな……」
「……解ったわ」
「うん、わかった」
――おっ?おおーー!!わ、解ってくれたか、無意味な争いだと!!
その瞬間、俺は心底助かったと思った。
これまでの経緯から鑑みて、どう見ても素直すぎる二人の返答に寸分の疑いも持たずに俺は安堵していた。
「ふぅ……なら早速今後の話を……」
俺はこの話題はもう終わりだと、さりげなく二人の間に入り、話題を本題に戻……
「そうね、
「わかった……さいかは基本的に”エッチ”だから、そういうことに……」
暗黒の美姫の紅い口元が意地悪く角度をつけ、応じた
「い、いやちょっと待てっ!待ってくれ!!その結論には異議がっ!」
「……」
「……」
纏まった?話に今更口を挟む男に、二人の美姫は揃って不満げな顔を向ける。
――理不尽過ぎるだろ……お嬢さん方……
「なによ?
「いや!俺が一方的にマイナスだろうがっ!!」
俺は必死に食い下がる!
「さいかは我が儘……」
――っ!
「どの口が言うかっ!これか?この口かっ!」
俺は
「うーー!!いひゃい!いひゃいよ、ふぁいはぁーー!!」
「痛いか!痛いだろう?それが俺の心の痛みだぁぁ!俺の心だぁぁっ!!」
「うぅーー!!ご、ごめんなひゃい……ふぁいふぁーゆるひて……」
「…………随分と安い心ね」
――
―
そんなこんなで……
どうしようも無く無駄な時間が流れた後で……
「……まぁいいわ、
「……」
――俺はよくない……色々と……
「ふふっ」
不満げな俺の視線に気づき、悪戯っぽく微笑む黒髪の美少女。
――スッ
「!?」
「ぁ……」
突然、
俺は硬直してそれを為す術無く受け、
「……」
またしても
いや、今回はあの
またもや素人の
「……ねぇ」
囁かれる美少女の声。
――甘い……胸が締め付けられるくらい切なく甘い香りだ……
そして
「
「っ!?」
囁かれたその言葉に……
一瞬、俺の心臓は跳ねる。
「ふふ、私もそう……あの時から呪われたまま。
物騒な単語が並ぶ台詞だが、それでも美しい
「……は、
俺の口から改めて、彼女の名が零れかけた時……
――スッ
「おっ?」
再び
抱きついてきた時と同じように突然、しかし驚くほど自然に距離を取っていた。
「……」
「つまり、そういう事よ
「……」
この自信の前にはいつも黙るしか無い俺だ。
だが、今回は……
俺は……沈黙を破るように……
「さいかーーっ!!」
今度は
「ひどいよ、新妻の前でもう浮気なんて!……さいかはひどい旦那さまだよっ!馬鹿旦那だよっ!」
雰囲気も何もぶち壊しな純白の少女……
――見た目は
「
「それにしても、
「う!」
俺の発した反論は、またもや
どうやらこの三人の中で
「
で、もちろん声の主は
「聞いてる……ええと……魔眼の?……
俺は一瞬だけ答えに戸惑った……
いや、正確には戸惑ったフリをしただけだ。
何故なら俺も、実はその可能性というか殆ど確信していたからだ。
――そうか、やはり……そうだったのか
「”まがん”?……さいか?」
よって、この場でポカンと間抜け面を晒すのは
俺はそんな
「うぁ……あの……さい……か?」
何か勘違いしているのか、
「……」
そんな可愛い仕草にも、今の俺は動じること無くあることを思考する。
結構な確率でそうだと推測はしていたが……
なにしろ”
世間では既に眉唾物扱いだし、幾ら何でも俺の周りに二人目なんて……という思いもあった。
だが、どうやら
”魔眼の姫”同士には、そういう感覚もあるのだろうか?
「そうね、
「?」
そして、そう切り出す
これは……
――シュォォ……
「……」
――いやいや、しっかりしろ俺!きっと気のせいだ
「”
「”
「ええ、この指輪は宝石で飾られてはいないけど、指輪そのものがそれぞれの物質で構成されているわ」
「それぞれの物質……?」
俺は
第三十六話「
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