第12話 いよいよオープンです

 よく晴れた六月の空が夏の予感を運んでくるような眩しい日に、三人姉妹のカフェ「おばあちゃんち」は開店しました。


十時の開店と同時に、お客様が玄関に入ってきました。


「こんにちは!」


近所の田辺のおばさんです。

友達を二人も連れて来てくださいました。


「いらっしゃいませ~。」


靴を脱いで、玄関から縁側を通って座敷に上がってもらいます。

座敷はほどよく小さな家具で間仕切りをして、プライベートスペースを確保してありました。


「まぁ、だいぶ手を入れたのね。」


「はい。三人で色々と工夫してみました。ゆっくりとくつろいでくださいね。こちらが飲み物やお茶菓子のメニューになっております。」



弥生さんがお客様にメニューを出すと、三人のおばさま方から嬉しそうな声が上がりました。


「まぁ、葛餅くずもちがあるわ。」


「私はところてんセットにしようかな。急須きゅうすでお茶がつくんですって。」


「たこ焼き?! 私はこれね。ビールがないからアイスティーでいいわ。」


「たこ焼きにアイスティー、ところてんセットですね。葛餅の方は緑茶がついております。それでよろしいですか?」


「ええ。それでお願いします。」



最初のお客様です。

たこ焼きの方は葉月さんに任せて、弥生さんは和菓子の用意を始めました。

最後にお茶を入れて、サービスの煎餅せんべいも用意します。

たこ焼きがもう少しでできるのを確認して、葛餅やところてんセットを運んで行きました。


「お待たせしました。この煎餅はオープン記念のサービスです。そちらのドアの向こうの応接室に手芸品や絵も置いてありますので、お時間がありましたら見ていって下さい。」


弥生さんが説明している間に、睦月さんが出来立てほやほやのたこ焼きを運んできてくれました。



そうしている間に、玄関で声がします。

ありがたいことにまたお客様がいらっしゃったようです。


「はぁ~い。」

「いらっしゃいませ~。」



なかなか順調なスタートのようです。

今日は三人姉妹の笑顔がはじけているようですね。





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