第12話;「アカネ」身近なチート
アカネの新しい館(やかた)のお披露目会会場
「お招きありがとうアカネ様」
エリザベート第一王女夫妻がアカネに挨拶をする
「食事と飲み物はたっぷり容易してあります、冒険者が多いのでダンスなどはありませんが,音楽は一流の方を呼んでいるのでお楽しみください」
「アカネ様も演奏を?」
「ええ後で少し披露させていただきます、聞いたことのない音楽披露させていただきますので,楽しみにしていてください。」
「それは素敵、楽しみにしてますわ」
扇で口を隠してはいるが本当に楽しみな様子が伺えた
「ところでアカネ様、ロベールの事どうお思いか聞いてもよろしくて?」
「直球ですね?」
「ちょっとあの子が不憫になってきて」
そっと音声遮断の魔法で王女との会話が漏れない様にして話を続けた
「最初の印象が悪かったんですよ、
彼に<スケコマシ>の隠れスキルがあったので、街での噂も聞きましたかなり浮(う)き名(な)を流されていたみたいですよね?
それにあの撫でるような魔力、貞操の危機を感じまくりです!結構な恐怖ですよあれ・・・・」
「それは、でも二股とかは無かったと思いますわよ、長続きしなかってだけで、今はアカネ様一筋ですし、撫でるような魔力は初耳ですが、しないように言いますわ」
「うーん、私一夫一婦制が良いんですこの国は基本そうですよね?浮気性の人は嫌なんです、可愛い子が居たらすぐ移っていくようなそんな男は」
「・・・・疑うのも無理無いですけど、本当にそんなことは無いのよ」
「それとやはり、王族は・・・・・ロベール王子の事は友だち以上に思ってますが結婚となると」
「そんなに王族が嫌?私(わたくし)のことも?」
「すみません、王女様を嫌っているわけではありません、どういえばいいのか、トラウマ?他国の王族にひどい仕打ちされたのでそれがトラウマになっているのかも?・・・すみませんこの国の王族の方は良い方なのは分ってはいるのです」
「もう少し頑(かたく)なにならずに考えてやってもらえないかしら」
そう言ってエリザベート第一王女はその場を去るアカネに向かって言った
(弟思いの良いお姉さんだな、本当に愛されてるんだなぁ~ロベール王子)
屋敷のお披露目会では、アカネのお店の宣伝などもされていて会場は大いに盛り上がった
終盤、アカネが演奏をする、楽団と練習したジャズだ、この世界には無い音楽、テンポの速いピアノ演奏に目を剥く王家の人たち、リズムを取る冒険者達大いに盛り上がってお披露目会は終わった
終ったあとロベール王子がある決心をしたことに気づいたのはフィンセントのみだった
魔境の自宅でのんびりしているアカネ
【ルナ】:ご両親無事お帰りになりました。
(そう、問題無かった?)
【ルナ】:全く問題ありませんでした、見事な戦略で危ない所が1つもありませんでした。
流石人類最強です、お二人の連携や間合いと戦略!見事でした、力でねじ伏せるアカネ様とは全く違いました!素晴らしいです
(ぐっ・・・経験値がまるで違うのは分かってますよ・・・力しか無いのもね・・・そっかさすがだね)
【ルナ】:客間にお通ししておきました、夕飯は済まされたそうなのでお茶を出しておきました
(ありがとう)
【セバス】:アカネ様よろしいでしょうか?
(ん?どうした、セバス?)
【セバス】:書簡が届いております
王都の1等地に商会の本拠地として小さいがそこそこの館を購入、セバスチャンはそこに常駐して商会の采配とアカネへの窓口としていた
(何か分かる?)
【セバス】:あて先はアカネ様ではなくクランドール伯爵様宛です
(・・・・分かった送って)
コンコン
「クランドール伯爵、よろしいでしょうか?」
「いいわよ~もうやあね~親子じゃない!いい加減他人行儀はやめましょうよアカネちゃん」
開けて入ると二人はゆったりとした部屋着でくつろいでいた
「・・・メイドが1名しか居なくておもてなし出来なくてごめんなさい、」
「問題ないぞ、もともと冒険者だから、自分のことは自分で出来る」
「・・・クランドール伯爵様、王宮から書簡が来たんですけど、・・・」
「あら、早いわね~」
「何かしたんですか?」
「もちろん亡命と領民の移転の問題よ、場所によるけど、移動に1ヶ月はかかるだろうし、土地の借り受けの件もね場所と値段とね、蓄えはあるけど領民殆どと、私兵いれるとどうなるか・・・」
「あら、あなた宛てのもあるわよ」
「私?」
書類を広げたアカネは絶句した・・・
外交は大丈夫なんだろうか?
<アカネ様へ、土地は魔樹の森や山なら何処でも構いません、税を納めるのなら土地代は免除します、そして入植一年は免除となります、場所はアカネ様にお任せします、国土の7割が魔樹の森なので有効に使えるのならこちは逆に喜んで受け入れさせていただきます>
<クランドール伯爵におかれましては、わが国でも伯爵の地位を差し上げて優遇させていただきます。是非騎士団、軍部の指導をお願いします>
エリザベート第一王女(王代行)
「これはどう言う事ですか?お母さま!」
「やっと母と呼んでくれたわね、『田中(たなか) 茜(あかね)』さん」
「!?え?」
「凄いわね現生女神?神様になっちゃうなんてチートすぎじゃない?」
「チート・・・」
「ミレーヌがフィオナも一緒だった、私よりもチートが凄いって言ったとき何が何だかわからなかったが」
「隠ぺい解除するから鑑定してみて」
名前:ミレーヌ・フォン・クランドール『三枝(さえぐさ)美鈴(みれい)』
種族:人間?
年齢:45歳(肉体年齢34)
称号:転生者・ドラゴンスレイヤー・フィオナを溺愛・ロベルトを溺愛
【レベル: 92/110 】
【体力: 1800000/1800000 】
【魔力: 800000/800000 】
【速さ: 100m/1秒 】
【知力レベル: 90/90 】
【光魔法:10MAX+5限界突破】
【聖魔法:10MAX+5限界突破】
【闇魔法:10MAX+5限界突破】
【火炎魔法:10MAX+5限界突破】
【氷魔法:10MAX+5限界突破】
【水魔法:10MAX+5限界突破】
【風魔法:10MAX+5限界突破】
【土魔法:10MAX+5限界突破】
【雷魔法:10MAX+5限界突破】
【空間魔法:10MAX+5限界突破】
【重力魔法:10MAX+5限界突破】
【精神魔法:10MAX+5限界突破】
【解析魔法:10MAX+5限界突破】
スキル:09/10
・自動異常回復:超
・精神汚染無効:超
・縮地:超
・会心の一撃:超
・体力上昇:超
・女神の祝福:超
・限界突破:超
・経験値2倍:超
・ステータス隠ぺい:超
「え?人類最強はお母様?」
【ルナ】:いえアカネ様の次に強いかと、世界2位
魔法はわたくしより強力です、限界突破はこの世界で多分ミレーヌ様だけかと
「実はアカネちゃんと一緒に私も封印してもらってたのよ、伯爵夫人していたかったから、そしたらあの糞王子!私のアカネちゃんに非道なことを、封印はアカネちゃんと連動してたから外れた時アカネちゃんが死んだと思って、ショックと封印の反作用で寝込んじゃったわ」
「ちなみにロベルトは?こんなチートな親から生まれたら・・・もしかして」
「もちろん封印は別でしてあったわ、伯爵譲るとき解いたけど、やはり魔力が半端ないわね」
「土地の場所はこの館の近くでも良いわよ、街道は作ってね、協力はするわよ魔法教えて」
「ちょっとまって!頭の整理が・・・」
「あっロベルトも話に加わりたいって、呼んでも良い?」
「・・・はぁ・・・自分のチートも対外と思ってましたが・・・・どうぞロベルトも呼んでください」
ミレーヌがパチンと指を鳴らすと床に魔法陣が、そこからロベルトが現れた
「お久しぶりです、姉上・・・今度魔法教えてください」
「なに?ロベルト!数ヶ月で声変わりに身長何その伸びよう」
「成長期と封印解放によるものみたいですよ、180あります身長・・」
「伸びすぎ~前160くらいだったよね・・・さすが男の子!」
早速今後の話し合いが始まった
「建物ごと移動出来たらいいんですが、さすがに目立つし魔法使っても時間がかかりますね」
ロベルトが顎に手を当てて考える
「土壌ごと転移出来るけど」
「はぁ?!何ですかそれ!」
「場所のすげ替えみたいな魔法、大規模なのはしたことないけど、此処の庭のレイアウトはそれで木の移動なんかしてる、多分領地ごと移動出来る、人は別に移動になるけどそれは時間差で一気に行けると思う」
「桁が違うわね流石!神様!」
「いや、お母様ももうすぐ、多分、人外ですよ100レベで何か変わるらしいですから」
「え?そうなの?」
「自我付きヘルプは女神族特典みたいだけど、神様がやるようなことお母様にも出来るようになる可能性が」
カチャカチャ
ルナが新しいお茶を皆に出している
「よろしいでしょうか?アカネ様」
「何?また何か気が付いたことあるの?」
「ハイ、多分ミレーヌ様よりロベール王子の方が先に100レベの可能性があります。現在99レベルです」
「え?うそ!何故?」
「先日ドラゴン調査が行われたそうで、その際赤龍に遭遇討伐、レベルが99になっておられます」
「え?あなたに傾倒(けいとう)してるって王子?」
「よく知ってますね」
「結構有名よ、貴方と知り合いって行ったらもう面白そうに皆語ってくれたわ~」
「王子だからって拒絶してるらしいじゃないか、可愛そうだと道(ち)股(また)で有名だぞ」
「え?あぁ~ギルドホールで結構やらかしてるからなぁ・・・」
「えっと姉上?何故?そのロベール殿が嫌いだからじゃなく、王子だからって言うのは」
「うん、トラウマ・・・結構きつかったよ・・・王に王子に仲良かった王女に家族に断罪されたとき、皆に見捨てられたって思った時、そして腕を切り落とされたとき!心は綺麗に壊れたね~悪者なら殺しも躊躇しなくなるほどに・・・」
「姉上・・・」
「でもフィンドラス王国には恨みが無いのよね~そうねフィンドラス王国なんかどうでもいいって思ってるのよ、だから貴方たちが亡命?いいんじゃない?その後あの国の防衛が極端に弱くなっても知ったことじゃないわ~」
「女神に完全に見放された国ってとですか・・・」
「貴方のことも恨んでないし逆に!」
ばふっとロベルトに抱き付くアカネ
「愛しくなってるわ!」
胸にロベルトの頭を抱きかかえすりすり始めるアカネ
「うわっちょっと姉上!胸!母上みたいなことしないでください!父上~」
「諦めろ、愛しいものをめでる癖は母親ゆずりだ・・・」
ロベルトは領民への説明と移転準備に帰って行った
アカネは長椅子の中央に二人に挟まれるように座ってミレーヌに頭を撫でられている
「辛かったね、これからは辛い時甘えていいのよ、貴方は自由なんだから別れはいずれ来るけど、私は少し長めに一緒に居られそうね」
「女神スキル≪不老不死≫か・・・私は早く別れが来るか・・・」
「お父様・・・」
「考えないようにしていたんでしょう?解るわ私のは≪不老長寿≫だからエレオノールとの別れの後どうなるのかとても不安だった」
「お母様・・・」
二人に優しくされそのまま寝息を立てたアカネ、ルナが抱きかかえて部屋を出て行った。
「幸せになってほしいわ、権力なんて要らなかったわね、そこに居るだけで幸せななんだわ」
エレオノールがミレーヌを抱きしめる
「ママ~大好き~」
「茉莉(まり)!」
ガバッと豪華なベッドに体を起こすアカネ
「前世の記憶か、子供か~」
コンコン
「アカネ様朝食の用意が出来ておりますお運び致しましょうか?」
「お願い」
ワゴンを押してルナが入って来る
ソファに座り朝食を食べ始める
「トレーニングはすぐ行かれますか?」
「そうねちょっとゆっくりしてから始めるわ」
お茶を入れるルナをボーと見ているアカネ
「静かね~」
「今日は工房が、お休みですので」
「そっか~」
お茶を飲みながら窓の方を見る
「そういえばお母様達は?」
「まだお休みになっておられます」
「めずらしいわね」
「近いうちにご兄弟がお出来になられますね」
ぶふぉと紅茶を吹いたアカネ
「なに何?盛り上がっちゃたの?年頃の娘が傍に居るのに?」
「おめでとうございます」
「・・・出来たの決定なんだ」
「望まれましたからおふたりが」
「あっ・・・私もわかった妹だ」
「お名前、是非にと望まれますから考えておかれるとよろしいかと」
「わかった!・・・さてトレーニング行って来るわ」
「いってらっしゃいませ」
「妹か~」
顔がにやけるアカネだった
数か月後忽然とフィンドラス王国の一つの領地が跡形もなく消えた
街や農地が草原に変わっていた
王宮には大量の軍人と騎士、それにメイドの辞表と、クランドール伯爵からの爵位返上の書類とが、うず高く積まれていた
フィンドラス王国の執務室
前クランドール伯爵の後釜に収まっていた貴族は蒼白となっていた
王太子は反対に怒りで震えている
「辞表は殆どがクランドール伯爵領出身の者で7割が要職についていました、この国は終わりです」
「なぜだ、クランドール伯爵はわが国を裏切ったのだ・・・」
「フィオナ様のことをことあるごとに抗議されていました」
「あれはフィオナの罪だ裁判でも証明されたではないか、証拠もあった」
「・・・・・」
「伯爵の地位を守るためにクランドール伯爵もフィオナを廃嫡したではないか!」
「クランドール伯爵がアメリア皇国の教会に保護を頼んでいた情報があります」
「アメリア皇国の教会?」
「教会にしばらく預かってほしいと言われたそうです、国境の村で教会関係者が待っていた事実があります」
「フィオナは死んだ・・・」
「その教会ではひっそりと遺体はありませんが葬儀を行ってくれていたようです」
「この国が可笑しくなってきたのはフィオナとの婚約を解消した時から、何かが可笑しくなっていった気がする・・なぜだ?・・・何かが引っかかる」
「・・・・・」
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