第8話:「アカネ」父に会う
王都に着くとアカネ達護衛は<フィンドラス王国>の警備隊に100はいる暗殺者や盗賊を引き渡した
無力化の魔法具を取ってくれと言われたが
「改心すればおのずと取れます」
と言って取らなかった、罪人なんだから取る必要がないだろうと何度も言って、後は無視したアカネ
(あいかわらずめんどいわ~ここの連中、魔法具解いたら逃がす気満々だな、そんなことさせるかっての!)
エリザベート皇女と合流して謁見の間に向かう
<アメリア皇国、エリザベート皇女様,ガジェット将軍様>
二人が前に進み、
護衛のロベール第2王子とアカネは入口付近に控えている
周りの貴族がひそひそと話している
「似てないか?」
「似てるが、髪も目の色も違う」
「そうだ、もっとふくよかだったぞ」
ふくよかにピクっと反応したアカネ
(好き勝手言ってる・・・投獄中にがりがりになったわよ!)
謁見の間にはフィンドラス王国の王と王妃、
王太子のジーク・フォン・フエルブとまだ婚約していないのにミッシェル・ブラウニ男爵令嬢がそこに居た
「王太子殿下このたびはおめでとうございます。王に置かれましてはお加減はいかかですか?」
「今日は幾分か気分がよくて、皆様に挨拶をと出てまいった」
エリザベート皇女そう述べるとフィンドラス王国の王が弱弱しく答えた
ちらっとアカネの方を見た王だった
一方ミッシェル・ブラウニ男爵令嬢は大嫌いな女に似た護衛を睨んでいた
その横に座る王太子は、フィオナに似た護衛に見惚れていた
白と黒のツートンの髪は頭の上でまとめ、下がる髪は全て細かい三つ編みに編んであり、赤い瞳の精悍な顔つきの護衛は美しかった。
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アカネは、皇女に了解をもらい別行動をしていた、
王都に1日前に先に着いたアカネは、
まず、実家にこっそりと行った
書斎に移転したアカネ
書斎で仕事をしている父はぴたっと手を止めた
「・・・フィオナ・・・」
「今は冒険者のアカネです。エレオノール・フォン・クランドール伯爵」
「父とは呼んでくれないのか?」
「死にましたから、伯爵令嬢は・・・」
冷たく言い放つアカネ、呆然とする伯爵、
姿が多少変わっても一目で分かるのは「フィオナを溺愛」のせいかもしれない
「お元気そうでよかった、奥様もお元気ですか?」
「奥様・・・ああ、しばらく臥せっていたが最近は少し気分がいいらしい、お茶会に出かけておる」
「・・・」
沈黙の後、ゆっくりソファに腰をかけたアカネ
「ロベルトはどうしてます?」
弟の事を聞いた、
弟のロベルトもまたミッシェル・ブラウニ男爵令嬢に惑わされている一人だ、捏造された証拠を信じて姉を廃嫡に率先して追い込んだ本人である。
「騎士団に所属して、連中とつるんでいるよ、殆ど家に帰ってこない、帰らないように仕向けられているみたいだ」
溜め息を吐きながらクランドール伯爵はアカネに言った
「今回の警備隊長に任命されたと聞いたけど、大丈夫?」
「殆ど仕事はさせてもらえないよ、副隊長に仕切られててね何を企んでいるのやら・・・・」
外から馬車の音がする
「帰ってきたようだ、フィオナの汚名を返上するため情報収集しているんだあれは・・・」
「え?」
ドタン!バタバタ!
すごい騒がしく慌てた音がしていた
バン!!
と書斎の扉開けたのは母のミレーヌ
「・・・フィオナ!・・・」
がばっとアカネに抱き付くミレーヌ
「え?・・・え?・・・え~」
「フィオナ!フィオナ!フィオナ!フィオナ!だ」
頬ずりしてキスの荒らしだった
がっしりとアカネを抱きしめるミレーヌ
「お母様?力つよっ」
「元Aランク冒険者だからな・・・」
冷めた目で見るクランドール伯爵
「えっ!初めて聞きいたよ!、嘘~」
「早めに伯爵夫人の演技辞めておけばよかったのに・・・」
「冒険者になったの?ランクは?私の若い頃にそっくり、何この筋肉いいわね~やっぱり割れてないとね~」
アカネのお腹を触る母、もう母のイメージががらがらと崩れて行くアカネだった
(ルナのツッコミが欲しいわ~お使いに出さなきゃよかった)
「で、昔は二人で冒険をしていたと?聞いてないし、教えてよそんな面白い話!」
まだ、べたべたと触ってくる母
「昔を思い出すなぁ・・好きな人に、やたらと男女問わず触りまくるミレーヌ、見るの久しぶりだ、嫉妬してたの思い出すわ、最近触ってくれない・・・」
(父よ娘の前でそれを言うか?・・・いやしかし母がこんな人だとは・・・冒険者か・・・)
「もう、館に帰ったらフィオナの気配がするじゃない?もうもうもう・・・」
泣きだしたミレーヌ
「ん?また馬車の音が、誰か来たのか?」
暫くすると書斎をノックする音がした
コンコンコン、
「父上?母上がこちらに居ると聞いたのですが?」
(ロベルトが帰ってきた・・・ルナ、お使い上手くいったのね)
「お呼びだと聞いたのですが」
「え?・・・ええそうよお入りなさい」
目くばせをしたら母は気が付いてくれた
「お客様でしたか?急ぎの用とは?・・・・
え?!あ・・もしかして姉上!?何故ここに?その姿は・・・」
一瞬で母の手を逃れロベルトに抱きつくアカネ
「フィオナ!お前もそんな癖が?」
父が何か言ってる
「違うわ!」
「何をするのです姉上、あなたは国外追放に・・・死んだと・・・・」
ふくよかな胸に顔を埋めながらもがくロベルト、アカネの腕力に適うわけも無くされるがままだった
「姉上胸!」
逃れようと胸を触ってしまった、年頃の16歳の男の子には酷である
「いやらしいわね、ちょっと少しじっとしてなさいよ!」
アカネから魔力が放たれロベルトを包む
「あった!」
ロベルトの体から黒いもやが出てきたアカネはそれを掴む
そしてロベルトを放した
呆然としているロベルト
「フィオナ、それは何?」
「呪詛の術式、魔法だとばれるからね、何を使って支配しているのかと思えば、呪いとはね・・・」
「呪詛など扱えるものなどこの国には居ないだろう?」
「そうよ、西の果ての国ジャラザンに2人居るとは聞いたことあるけど」
「さすが、母、だてにAランク冒険者やってなかったね~そうジャラザン!ここにアメリア皇国の皇女の護衛で来てるんだけど、道中すごい数の暗殺者に襲われてね、その1/3がジャラザンの特徴の浅黒く目が大きい者たちだったの」
「・・・・黒幕がジャラザンとはな・・・」
「国、ぶっ潰してきましょうかねぇ?」
「おいおい潰すって」
「姉上・・・僕・・・なんてことを・・・」
「正気に戻った様ね、遅いけど・・・」
ソファーの前の机にペンダント型の魔石を出すと
手に持っている呪詛の術式をそこに移した
「これを首にかけてて、呪詛はそのままと勘違いしてくれるから、術が解けたと分かったら狙われる可能性があるからね、術を通しての命令も感じることが出来るし、従う必要はないけど」
「とりあえず騎士団には戻らない方がいいだろうな」
「しかし父上、明日から護衛の任務が・・・」
「仮病使って休んで、・・・大丈夫、<SSS超級冒険者アカネ>様にまかしときなさい」
にこっと笑うアカネだった
「「「「SSS超級!!??」」」
(ルナ、もう一つのお使い上手く言ったかな?)
【ルナ】:移転okです
(ナイスタイミング)
王城、王の私室の天蓋付きベッドの上でクッションにもたれて青い顔の王が居た
ルナに前もって説明してもらってたので王は、驚くことも無くアカネを見た、
「お久しぶりです、王陛下」
「フィオナ嬢・・・無事だったんだな」
「すみません、早速ですがちょっと失礼します」
「本当に治るのか?」
ロベルトと違い、そっと王の頭を両手で優しく触ると
灰色のもやが体から出て来た
ロベルトの時と同様に魔石に移して王に渡す
「呪詛は考えることをさせないようにするもののようです。」
「ああ、心ではこれは毒だとなんとなく分かっているのにふと考えられなくなっていた」
「これは毒を中和する魔道具です、一気に抜くと体にさらに負担がかかるので1週間かけて抜きます」
王に腕輪を渡す
「1日一回腕輪の石に魔力を注いでください少しずつ抜けて行きます、1回でもけっこう楽になりますよ」
じっと腕輪を見つめる
「今日の分やってみてください」
「ああ・・」
腕輪の宝石に指を添えて魔力を注ぐ
ふわっと優しい風がふいた
「!体が楽になった・・・」
「しっかり1週間毎朝行ってくださいね、そのまま腕輪は毒消し効果の魔道具になりますのでそのまま付けていて大丈夫です」
「私を恨んでいないのか?今なら分かるそなたが無実であることをいや、あの時も分かっていた・・・」
「アカネですよ、私は冒険者の・・・ただの冒険者のアカネが誰を恨むんですか?」
ニコッと笑うアカネ
複雑な顔の王、
「その髪」
「これですか?フィオナの最後の時、背中を切り付けられましてね~恐怖で白くなりました、大丈夫です髪は元の黒にまた戻ります」
「フィ・・・アカネ殿」
ぎゅっと手を握り涙する王だった
「是非、上に立つものとして、民を一番にお考え下さい」
王に取って一番、胸に痛い言葉だった
【ルナ】:この国は大丈夫でしょうか?
「王都の様子は悲惨だった・・・皆の目が絶望過ぎる
更に税率をもっと上げるお触れが出てるらしいわ」
エリザベート皇女と合流するため戻りながら町の様子を見て言った
ルナはアカネの影に居る
【ルナ】:お父様達と、もう少しお話ししたかったんじゃないですか?
「いつでも何処からでも移転出来るし・・・伯爵辞めて冒険者に戻ればって言ったら超乗り気だった・・ふふっ・・・早速筋トレしてたわ母」
【ルナ】:アカネ様のストイックさはお母様ゆずりですね、それとロベルト様に抱き付いたのわざとですよね
「ははっ、操られてても蔑まれても、弟は可愛いものよ、母のこと変わり者呼ばわり出来ないわね」
気にかかっていた事の2つを解決して皇女と合流して、捕縛した暗殺者達の受け渡しの準備をした。
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