第3話 恐喝と暴行
校舎とはグランドを挟んで反対側にあるプレハブ、そこは部活の部室として使われているのだがその端に小屋のような物が一つある。
元々は倉庫として使われていたらしきそこは鮫島達の溜まり場となっていた。
昼休みにそこに呼び出された竜一は金属バットを素振りして暇潰しをする鮫島の取り巻きの一人である鈴木に声を掛けられた。
「おぉ~坂上君じゃないかぁ~」
「……」
小柄で単髪に反り込みを入れた鈴木は非常に短期でどうでも良いことで突然切れたりする厄介なヤツだ。
気分屋で先日なんか挨拶をしたら「裏声で馬鹿にしてるのか?!」とか突然切れだして腹を殴られた。
鮫島の指示で見た目は分からないように顔などは攻撃しない様に言われているらしく暴力を受けるのは必ず服の上だ。
下手なことを言わず頭だけ下げて挨拶を返すと小屋の中から鮫島が出てきた。
「おっ来たな、じゃあ早速今朝の慰謝料と今日の友達代で5000円貰おうか、俺達は帰りにカラオケ行くんでな」
最初は500円を要求され昼飯代を取り上げられていたのだがどんどんエスカレートしていき、突然のこの値段である。
「無い…」
「あぁん?無い?ちっ使えねーな、いいよじゃあいつもの友達代1000円で」
「それも無い…」
「ふざけてんのお前?」
胸ぐらを捕まれて引き寄せられた。
俺は素直に理由を伝える。
「今朝鮫島君が壊したシャーペンと定規を休み時間に買ったからお金はもう無い…」
「ふーん…あっそーかい!」
ドムッ!
「ぐぁっ?!」
俺の腹に鮫島の膝蹴りが突き刺さる。
胸ぐらを掴まれたままなので屈むことが出来ず胃液が口の中まで逆流しそうになる。
「まぁいいや、じゃあ明日1万円持ってこい。そしたら許してやるよ」
掴まれていた手を離されしゃがみ込んだ俺にそう告げる鮫島。
許すって何を?俺が何をした?
理不尽な思いが交差する頭。
そんな俺の髪を掴んで顔を上げさせられた。
髪を掴んだのは鈴木だ。
「とりあえず有り金全部置いていったらここは見逃してやるよ」
無茶苦茶だ。
そんな俺の耳に一つの声が聞こえてきた。
「さ、坂上君?!」
チラリとそっちを見ると幼馴染みの白根さんがそこに連れてこられていた。
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