派遣5人仲間5人の地獄






 後にも先にもない僕の地獄


 18歳で


 ヘルメットは二本線


 名だけの親方だけど


 親方だ


 この現場で僕を成長させようと


 していたのだろう


 僕が職長で


 5人は職人専門の派遣で


 この仕事は初めてだ


 後は先輩三人と後輩二人


 その後輩の一人が後に会社を立ち上げて


 僕はその会社に引き抜かれた


 そして朝から地獄が待っていた


 僕が現地KYという安全と作業内容を伝える為、みんな輪になっていた


 派遣5人が来ない


 先輩の一人が呼びに行った


 輪に加わった5人に先輩が怒鳴った


 現場に来たらKYやんの当たりめぇだろ、と


 もう一人の先輩が


 しので僕のヘルメットを殴った


 お前がちんたらやってるからいけないんや


 この大阪人、僕の事をいつも気にかけてくれていた


 一緒に温泉も行った


 そしてスラブに上がり


 クレーンで材料を上げた


 派遣の一人にインパクトを持ってきて下さいと言った


 僕は作業を終わらせなければならない焦りで、自ら床に数千箇所穴を空けようとした


 派遣の一人はなぜか後輩のバッグを持ってきた


 僕は笑いを必死に抑えて、自分で取りにいった

  

 作業は二日


 僕は指示を出しながらひたすら穴を空けた


 空けた穴にアンカーを打ち込み、インパクトでしめて曲げ、ターンバックルでさらに曲げる


 この作業を派遣に任せた


 この仕事に慣れている仲間には


 機械を使う結束と、キャッチと呼ばれるボイドを挟む金具の取り付けをお願いした


 壁から22.5㎝以内と配管がある場所、鉄筋がはみ出た所にボイドを入れてはならない


 ちなみに僕は結束が一番早い


 それはそうだ、結束機の二刀流使いだからだ


 僕はガンガン結束していると


 また怒られた


 お前が指示しなかったら誰がするんや


 だそうだ


 話を聞くと職長は6人以上いた場合、作業より指示や段取りをするんだそうだ

 

 僕には向いてない


 そう思ってしまった


 1時間残業して


 1日目が終わった


 二日目で無事に終わり


 僕の初の10人の職長は苦い思い出になっていた


 これまでは5人や3人など、少数の職長が多かった


 16から職長になっていたから


 大丈夫だろうと思っていたけど


 大丈夫じゃなかったけど


 終わりだけはよかった


 僕はやっぱり


 誰かの下で全力を尽くしたい


 それが一番楽しい


 責任とか感じたくないし


 思い出すだけで頭が痛い







 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る