土曜日の本
憑木影
第1話「神さまは、一週間で世界を造った」
神さまは、一週間で世界を造った。
最初は光を。
そして、大地にそら、海を造る。
山や川、植物や動物に魚と鳥。
多分ちょっとした気まぐれで人間も造った。
それが日曜から金曜まで。
土曜日には休憩をした。
そりゃあ、神様さまだって休まなきゃあね。だって人間みたいにへんてこで、うんざりするような生き物まで造ったんですもの。
でも、わたしは知っている。
神さまは休んでなんかいなかった。
彼は、土曜日に本を書いていた。
その本はこういう名がつけられている。
「土曜日の本」
それは、世界の取り扱い説明書。
物を造ったんだから、もちろんマニュアルを書かなきゃね。
携帯電話にだってあるでしょう。本体の倍以上に大きいマニュアルが。
誰も読んではいないでしょうけれど。
マニュアルなんてなくても携帯電話を使えるように、世界のマニュアルを読まなくてももちろん生きていける。
でもね。
読めば色々なことが判るようになるし、色々なことができるようになる。
わたしは、読んだ。
そして、世界を学んだの。
だから。
だからこうして。
あなたに話すことができる。
あなたの一部となることができる。
あなたと、ひとつになることができる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます