第7話 オレンジ色
夕暮れのオレンジ色の中を白のワゴン車が走っている。
中には全く同じ顔の外国人風の男が4人乗っていた。
家族で出かけた帰りに奇妙な光景を見た。
ワゴン車の中の建設作業着の男性型アンドロイドだ。
4人とも同じ顔で似ている。
四つ子という可能性はあるがこの状況ではありえない。
僕が彼らをアンドロイドだと判断したのはもうひとつ理由がある。
彼らは中南米系の顔をしていた。
建設現場で働く男性型アンドロイドには怪我がつきものだ。
高所作業など危険な作業こそ彼らが使われる。
アンドロイドは法的に人間ではない扱いだ。
だから彼らが大怪我しても死亡してもカウントされない。
とはいえ、そこは人間側の心理問題もある。
同じ現場で働けば情も移る。
女性型アンドロイドが怪我をすれば危険でも救助したくなってしまう。
男性型でも同僚と変わらぬ姿なら危険を承知で助けてしまう。
そして人間側に二次災害が発生する。
そうならないように建設作業アンドロイドは外国人の外見をしている。
彼らは愛玩用ではないので特別に男前ということもない。
(あまり魅力的だと女性作業員が危険を承知で彼らを救助してしまう。)
現実には外国人なら日本人より救助が遅れるということはないのだろう。
しかしもし怪我をしたアンドロイドが家族に似ていたら冷静でいられるだろうか。
オレンジ色の光の中をそのワゴン車は通り過ぎて行った。
潮の香りがプンとした。
ワゴン車はこの先の港湾施設に向かったから埠頭の建設現場が行先かもしれない。
あの4人の男性型は死ぬまで危険な現場に向かう。
彼らは朝から夜まで現場で過ごす。
命がけで。
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