第299話 両雄激突! (3)
だから二人は、戦姫は、自身の口の端を吊り上げ、薄笑い。
お互いが狂気に満ちた笑みを浮かべながら、自身の両手で握るグレイブ、三尖刀で、楽しそうに打撃、切り合い、薙ぎ払い──打ち合いをおこなうのだよ。
「うりゃあああっ!」
「おりゃあああっ!」
〈ガン!〉
〈ガンガン〉
「チッ!」
「やるなぁっ!」
〈ガン!〉
〈ガシャン!〉
「くそぉっ!」
「ちょこざいなぁっ!」
〈ガン!〉
〈ガン!〉
「うぅ、ううっ」
「チッ!」
「ぐぅ、ううっ」
「うぐっ、ぐぐっ」
と、言った感じ、様子だよ。
夏侯淵嬢も、紀霊将軍も、三國志を代表する勇将、猛将だから。
余程自分自身が気を抜かない、気をとられない、相手を侮らない、余所見をしない限りは、ゲームイベントの一騎打ち、一騎駆けのような失態を犯すような事はないのだ。
実際夏侯淵嬢が前世で黄忠に後れをとったのは。
敵である黄忠の事を夏侯淵嬢が、『この老いぼれ!』、『年寄り目がぁっ!』と、侮った事と。
自分達魏軍の軍勢──定軍山を守備する軍勢が、蜀軍に対して冷静になっている事で、夏侯淵嬢が冷静になる事が出来なくなり。功を焦った為に、法正と黄忠の計略に対して安易にかかってしまったのが原因だからね。
いくら彼女が只今対峙──争っている紀霊将軍が、あの闘神。
そう、蜀の五虎将軍の筆頭格である関羽雲長と、青龍偃月刀、三尖刀で打ち合い、叩き合い、切り、薙ぎ払いをおこない。
引き分けた事のある猛将紀霊将軍であろうとも、安易に後れをとる事はないのだ。
だから二人の戦姫は、直ぐに膠着状態へと陥ってしまうのだった。
◇◇◇
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