第277話 あとがき(3)

「そうなのですよ。御主人! 私も、姫も、目を開けたら。洛陽の都の門の付近で転がっていたのですよ。だからびっくりしました」


 木馬の上から紀霊将軍が、自身の目を大きく開けながら、袁術嬢の言葉につられるように理樹李儒へと説明。


 そんな二人の話しを聞けば、理樹李儒自身も、両目をウルウルと濡らす行為をやめ。


 自身の首を傾げながら。


「そうなんだ」と。


 死んだ! 他界した! デリート! 


 この世界から完全に消去されたと思っていた二人。


 袁術嬢と紀霊将軍二人の事が気になる。


 だから彼は脳裏で。


(う~ん、何で二人は、蘇ったのだろう?)と。


 彼は呟くのだ。


 そんな理樹李儒の様子を凝視した魔王董卓閣下は。


「可笑しな事もあるもんじゃな」


 と、独り言を漏らすように呟けば。


「ええ、確かに」と。


 女神、弁姫殿下が頷き。


「本当だよね。何で、こいつが生き返ったのだろうか? 本当に不思議な事もあるもんだなぁ」


 魏の覇王曹操孟徳が自身の腕を組み、顎の指を当て、考える人になりながら苦笑浮かべ漏らし、袁術嬢を侮るように呟けば。


「──あなた、ちょっと、そこを退きなさい」と。


 未だ相変わらず、生きて生還、この場に戻ってきた袁術嬢に、上から重なるように抱き付いたままでいる理樹李儒へと彼女は、自身の腕を使用しながら彼を振り払い立ち上がると。


 今の今、自分自身を侮り、苦笑を浮かべる宿命のライバル様へと詰め寄り。




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