第273話 【終焉】李儒(理樹)と内気な姫殿下(7)

 理樹李儒は、声を大にして泣き叫びだしたのだ。


「わぁ、あああっ! ごめんよ! ごめんよぉあああっ! 本当にごめんよぉおおおっ! 袁術ー!」とね。


 彼は天を仰ぎ泣き叫び出したのだ。


 自身の周りには段々と、この場。


 先程迄物々しい様子。


 戦場と化していたオアシス。


 そう、只今、声を大にして泣き叫んでいる理樹李儒を、自身の彼を抱擁しながら慰め、労っている弁姫殿下が造った祭壇があったオアシス内に集っている色々な戦姫様達が。


「うぁ、あああっ! うぁ、あああっ! 袁術ー! 袁術ー! 紀霊将軍ごめんよぉおおおっ! 御免なさいー!」と。


 相変わらず泣き叫ぶ、彼の許へと。


「君、大丈夫?」


「主様、大丈夫?」


理樹李儒殿、大丈夫?」


「理君、大丈夫か?」


「御方さま……」と。


 大変に悲しく、心痛した声音を漏らしながら集おうが。


 理樹李儒自身は、お構い無しに泣き叫ぶのだ。


 そんな様子の彼の事を、曹操孟徳は悲しい目で見詰めながら。


「何で袁術アイツが、こんな場所にいたのだろう?」


 と、独り言を漏らすように呟けば。


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