第242話 【魔王登場】李儒(理樹)と内気な姫殿下
「えっ、閣下の声が……?」
李儒(理樹)が、彼の魔王さま。
董卓閣下の叱咤激励を聞き、自身の両目を大きく見開き、驚嘆を漏らせば。
「誰が泥棒猫ですか。貴女がわらわの虚をつき、横取りしたのでしょう。わらわの主のことを、董卓……」と。
今度は李儒(理樹)の魔王さまではなく、女神さまが。
後漢の魔王である董卓仲頴へと不満……。
弁姫自身の事を、勝手に李儒(理樹)と逢引きをしたから泥棒猫扱いをする魔王董卓に対して彼女、弁姫殿下は。
自身の主、李儒(理樹)の事を優しく見守るように見詰める眼差しを辞め、声がする、した方へと顔を動かし、視線を変える。
そして、自身の目を細めながら怪訝な表情で睨み、不満を告げるのだ。
そう。今迄の弱々しい。
何処かオロオロ、オドオドと、自身の目を泳がせながら俯いたまま……。
自身の頭を上げ、相手の目を見て会話をする事が出来ない、ひ弱、軟弱な姫さまではなく。
『だから何?』
『それがどうした?』
『わらわに不満があるのか、魔王よ?』
『ならば、一戦交えても構わぬぞ!』
『わらわは、魔王と!』
と、でも、言いたい顔、様子で、弁姫殿下は、自身の奥歯を『グッ、ググッ』と、強く噛み締め睨みつける。
でも、董卓閣下は、魔王だから。
女神さま、弁姫殿下の、自分への不満のある顔、様子を凝視しても、退く。控える。
そう。生前と一緒で、下馬する事もしないで、木馬の上から見下ろす。
弁姫殿下のことを侮り、蔑み、見下すように、自身の目を細めながら不適に笑いながら睨み返してくる、だけではないのだ。
魔王董卓仲頴はね。
「ふん、どうした? 儂に不満か、泥棒猫? 儂は貴様に対して、本当の事を述べたつもりじゃが。何か儂が可笑しい事を申したか?」
自身の鼻息荒くしながら弁姫殿下へと向けて悪態をつくのだ。
魔王董卓仲頴は、女神弁姫殿下へと嫉妬心をあらわにしながらだ。
だから二人の間に立つ李儒(理樹)は、二人の妃の顔を、自身の顔色を変え、交互に見詰め。
「閣下、弁姫さま……。二人とも……」と。
気落ち、弱々しく声をかけ、二人の妃の顔色、様子を窺うのだが。
「婿殿、煩い。黙っておれ。これは儂と弁との問題だ。主が首を突っ込むことでない」と。
李儒(理樹)に対して、魔王董卓閣下が不満を漏らせば。
「董卓の言う通りです。これはわらわと董卓との問題。だからあなたは黙っていてください」と。
李儒(理樹)は弁姫殿下からも不満を漏らされるので。
(いや、はや、困ったなぁ、どうしよう?)
と、思い。
途方に暮れるのだった。
◇◇◇
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