第205話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(15)

 とうとう女神さまは、李儒(理樹)のことを【御方さま】と、少しばかり距離を開けた呼び名で呼ぶのをやめ、親近感の完全にある呼び名。妻が夫を呼ぶ時の呼び名である【あなた~】に切り替えて李儒(理樹)のことを呼んでしまうほど、彼に『ホの字』であり。


 女神さまが今、自身の主へと説明をした通りだ。基本彼女、女神さま自身を使用──。己のパーティーメンバー。【俺嫁】に加えて、【三國オンライン戦記】をプレイ。楽しもうと思う。気の毒な者達、人達は皆無に等しい状態でね。


 この李儒(理樹)でさえ、数年以上は、この三國オンライン戦記をプレイしてきたのだが。未だに女神さまが誰なのかわからない状態で。彼女を庇いつつ、埴輪の巨人兵と戦闘──。二人仲良く、この物々しい。危険な状態の冒険を楽しんでいる。


 まあ、それぐらい、この麗しいはずの女神さまは、容姿とは不釣り合いなぐらい影が薄い存在なのだ。と、いうか? 基本女神さま自身が、自分自身のことをお飾り者。お飾り人形と呼ぶ通りで。三國オンライン戦記をプレイしていた者達も、基本女神さまの戦姫カードを手に入れて凝視。観覧をしても。


『へぇ~。こんな御仁まで戦姫カードになっているんだ』と、呟いて。そのまま倉庫行き──。


 そして女神さまの嘆きの通りで。その後女神さまをパーティーメンバーとして誘ってくれる主さま、旦那さま、御方さま……。勇者(ヒーロー)さまはいないから。女神さまの余生の大半は、倉庫でのエルフらしい一人で寂しく菜園、オアシス作りになるのだ。


 そう。もう大半が、おチビな一向一揆衆達に破壊をされたこのオアシス……。


 何もすること……。冒険、アドベンチャーと呼ばれる戦闘、合戦、攻城戦にも主人公(ヒーロー)さまからお呼びのないお飾り姫さまこと、女神さまが。自身の身の上、立場を呪いつつも、自身の第二の人生。産まれ変わった。転生した自分の身の上、置かれている立場を愁いで嘆き。


 何とか今の自身の立場を改善して、楽しい新世界生活をエンジョイしたい。したいから。祭壇を建設──。


(誰か~。どなたか~。主人公(ヒーロー)さま~。わらわを~。わらわのことを誘い。側に。側に置いてください~。命懸けで奉公。尽くしますから~)と。


 毎日暇をみては、洛陽城外へとお忍びで外出──。一人で祭壇にて、主人公(ヒーロー)さま、勇者さま、騎士(ナイト)さまを誘う。祈祷! 祈願! 願を込め詠唱──。呟き、嘆いているところに、たまたま魔王な董卓仲頴閣下の、自身の伴侶選びと誘い。李儒(理樹)との空間破壊に、女神さまの想い。願いがリンクし。三人の力で李儒(理樹)の部屋へと異世界ゲートを設置した。出来たのが本当の事実なのだ。


 李儒(理樹)と魔王な董卓閣下の二人は知らないけれど。まあ、そんな理由、訳があるから。女神さま自身も先程から李儒(理樹)のことを自分自身の物だと告げる。言い切ってくるのだ。


 でも、そんな仲慎ましい二人なのだが、本当に今は大変に危険な状態でね。


 彼の持つ、握る。白銀のマスケット拳銃から発射! 乱射される魔弾なのだが。埴輪の巨人兵に次から次へと当たるのだが。敵は、大型ボスである埴輪の巨人兵だから、李儒(理樹)一人の攻撃では、敵、相手のHPが微妙に減るのみで。敵の攻撃──!


 埴輪の巨人兵が地面を耕すように振り下ろす──。鍬の攻撃を女神さまが。


「はぁあああっ!」と。


 荒々しく、勇んだ声音を吐き、放ちながら、防御障壁を張り。ガード! 弾いてみせている状態なのだが。


 いくら神々しいやんごとなき姫さまである。女神さまでも、魔力には限界がある。底があるから。


(このままでは不味い。不味いな……。女神さまの魔力が底をついてしまう)と。


 李儒(理樹)は危惧をする。すればね。


「大丈夫です。あなた~。わらわがこの身に変えても。あなたをお守り。守護してみせますから~」





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