第157話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【三】(15)
だって今までは雨……。只今李儒(理樹)の頭上から『チラチラ』、『サラサラ』と、降り注ぐ霧雨すら降っていない状態の天気──。晴天とまでは言わないが、空──。天空のいたるところには雲が多々あり。陽の光を隠す。遮っている状態……。
そう、真冬の乾燥、からっかぜが吹き、黄砂をサラサラと舞う。舞飛ばしている状態がこの緑の地に、李儒(理樹)が辿り着くまで続いていたのだ。
「ここは、オアシスなのかな?」
だから彼、李儒(理樹)の口からは自然とこんな言葉、台詞が漏れてくる。この不思議な場所。場所に生える草木、花々を見て観察、堪能をしながら。
でもこの不思議な場所に彼が入る。足を踏み入れてから少し歩行を続ければ。それまで辺りを『キョロキョロ』と、興味津々に見詰め観察をしていた李儒(理樹)の口から。
「降りてあるこうか……。お馬ちゃんの大きな樋爪で、力強く草や花を踏むのも悪い。心痛むから……」と、独り言が漏れ。彼は、「よいしょっと」と、己の口から漏らしながら。埴輪仕様のお馬ちゃんから下馬──。
そして己の二本足で歩き始める。歩行を始めだす。やはり辺りを注意深く観察……だけではない。
李儒(理樹)が、己の駆る埴輪仕様のお馬ちゃんから下馬する原因、要因となった。地面に青々と生える草花──。
特に可愛く花を咲かせる。咲かせている草花を踏まないよう。彼は避けながら。この人為的に創られたと思われる庭園の奥へと向かうのだった。
◇◇◇◇◇
「本当に綺麗な場所……。手入れの行き届いた場所だな……。一体誰が、何の目的で、この庭園を製作、創ったのだろう……」
こんな独り言を漏らしながら、辺りを注意深く見て、観察を続けながら。李儒(理樹)は歩行を続ける。続けて奥へと向かうと。
〈ザッ、ザザ、ザザザ〉
「(……ん? 川の流れの音。音なのかな?)」と、思う物、音が、歩行を続ける李儒(理樹)の耳へと聞こえてきたのだ。
だから彼は、己の首を傾げながら。
「こんな場所に水が湧く場所、箇所があるのかな?」と、声を漏らしながら思案をする。続けるのだ。
「……だ、だれ? だれがいるの。いるのですか、そこにと?」と。
歩行をするのをやめて佇み、思案を始めだした李儒(理樹)の耳に突然声が。それも? 女性……。自分自身と年齢が余り変わらぬ少女の声が李儒(理樹)の耳に聞こえてくるから。彼の口からは。
「えっ?」と、驚嘆が漏れる。漏れるだけではなく。李儒(理樹)は咄嗟に、声が聞こえた方へと視線を変える。変えてしまうのだ。
「あああ、め、女神さまが……。美の女神アフロディーテさまがいる。いた……」と。
彼の口から自然と声が漏れてくる。きてしまったのだ。
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