第147話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【三】(5)
「はぁあああっ! な、何で俺が! 俺が行かねばならぬ。ならぬのだぁあああっ! 孟徳!」
「えい! いけぇ! 僕の代わりにいけぇ! いけと言っているのがわからぬか? 夏侯惇!」
「何で俺が。俺がお前の男。李儒(理樹)の為に警護。それも? 李儒(理樹)の奴に悟られぬよう遠く。遠目から見て観察をするような面倒な事をせねばならぬ。ならぬのだぁあああっ。孟徳」と憤怒。罵声を放つ少女の声、台詞が、だけではないようだ。片目のダークエルフの戦姫は。
「お前が行け。いけばよいだろう。孟徳。そんなに李儒(理樹)の事が気になる。気になるのならばぁ」と、己の顔を真っ赤にしながら。自身の従姉妹であるダークエルフの小柄な少女……。
そう、曹操孟徳へと不満を申している。告げているようなのだ。先程説明をした洛陽の城郭の裏手門、後ろの門で、後門の虎の如く勢いある声──。それも? 他人の目など気にもしない勢いで声を大にして叫びながら曹操孟徳へと不満を吐いている。放っているのは盲夏侯と名高い。後の魏の大将軍である俺戦姫さまの夏侯惇のようなのだが。何故自分が、従姉の曹操孟徳の仲直り。寄りが戻る。復縁をした俺嫁ではなく、俺夫の為に警護をしなければいけないのかと不満を漏らしているようなのだが。彼女の従姉である曹操孟徳は、安易に『うん、わかった。惇。僕がいくか。誰か代役の者を立て命令をくだすよ。と、己の頭を縦に振り頷くようなことはしない。しないようだ。
「孟徳。お前が行け! 行けよぉっ!」と、未だ真っ赤な顔をしながら自身に不満を告げてくる夏候惇に対して。
「僕では理樹(あいつ)の身に、なにかが起きた。災いが振りかかった時に、咄嗟にあのバカを警護。敵から守る程の武力がお前……。惇のようにないから。お前がいけ。いってくれよ。お願いだから。惇……」と。
バカな、というか、漢の丞相である董卓仲頴へと我儘を申した己の主。李儒(理樹)の背を押し後押しを董卓仲頴の家臣。一同の前で大丈夫。大丈夫だ! と、進言、物申した曹操孟徳ではあるのだが。本人が董卓臣下の者達の面前で進言した通り大丈夫は大丈夫なのだが。それも絶対ではない。無いかも知れないのだ。
もしかすると? あの時自分に起きた行為、己の目の前を黄巾賊の兵達が通り過ぎて行ったのは偶々、偶然と言う奴だったのかも知れないと、賢い曹操孟徳は直ぐに思い。自身の家臣でもある盲夏侯と世に名高い猛将──。三國志の物語、ゲーム内でも十本指に数えられるほどの猛将、上位ランクの名将の一人である夏候惇へと、李儒(理樹)の警護を下知。
でも傍から、遠目から後門の様子を見て確認をすればわかる通りで。当の本人である俺戦姫さま夏候惇は、自身の主君でもある従妹の曹操孟徳の下知を拒否。嫌だと告げくる。申してくるから。とうとう曹操孟徳は「頼むよ。惇。お願いだ……」と、下知から嘆願へと切り替えお願いを始めだすのだが。
それでも夏候惇は、「いくらお前が嘆願をしてこようが。あの我儘なクソガキの面倒。警護を俺が何故せねばならぬ。ならぬのだぁ。孟徳。俺が……。俺は我儘なガキの相手、警護をしてやる程暇。暇を持て余している訳ではないから。どうしてもあの我儘なガキの面倒を、警護をしたいのならばお前が行け。孟徳……」と、不満を漏らしながら。己の頭を振り拒否をしてみせるから。彼女に嘆願をしている曹操孟徳自身も、困ってしまってワンワンな気分に陥り。トホホホなのだ。
だから頑固一徹な従妹を覇王曹操は凝視しながら。
『どうしよう? どうするかな?』と、思案を始めだす……ではないか?
【読んで頂きありがとうございますm(_ _"m) レヴュー・星・感想・ハート等の応援も筆者の投稿の励みにもなりますので。もしも宜しければ。大変にお手数ですが宜しくお願いしますm(_ _"m)】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます