第145話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【三】(3)

「閣下、私が李儒(理樹)殿を追尾して遠くから観察しながら警護をしましょうか? それならば、李儒(理樹)殿に警護しているのがばれずに事を進め、務める事ができるので、そうしましょうか?」


 華雄将軍は、閣下に気を遣い。このように尋ねる。問いかけてみるのだが。


「別に良い。いらぬ……」と閣下は、華雄将軍の優しい行為に対して、受け取ることをしないで断る。


「じゃ、閣下。良いのならば、後は城門を守るおチビ達に任せて、城郭内へと入りましょう。そして宮殿内へと戻りましょう。閣下……」と、頑固な。と、いうか、己の主のことが心配でならない閣下……。傍から彼女を見て確認をしても、己の主が気になって仕方がない女、女性の顔をしているが。誰が見ても一目瞭然でわかるような顔をしているのに痩せ我慢をして魔王な董卓閣下だから。華雄将軍自身も。


「(はぁ~。本当に困ったもんだな、閣下にしても……。殿が気になって仕方がないのならば。私に一言、『李儒(理樹)』の安否、上体と様子が気になって仕事が手につかん。だから華雄頼む。アヤツを警護。守ってくれるか)と、一言私に命令をくれればいいだけの事なのに……。この女性(ひと)だけは昔から。妙に頑固、意地っ張りな所があるから。本当に困ったものだ)」と、素直にならない閣下に対して、華雄将軍は脳裏で溜息を漏らしながら嘆く。


 だも? このまま洛陽の城郭の門で二人仲良く呆然としながら佇み、李儒(理樹)を待つ。待ち続ける訳にはいかない。


「宮殿へと戻りますか、閣下……」と、声をかけ。己が騎乗をしているお馬ちゃんを反転させる。


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