第24話 魔王さまからの囁き(2)

 彼は、李儒理樹は今も嘆いた通りだ。


 いくら彼が、名も知らない。わからない女神様の事で嘆き、溜息を幾度となく漏らそうが。彼女、女神様は、必ずと言ってよいほど現れてはくれない。


 だから李儒理樹は、名も無い女神様が再度彼の許へと尋ねてきて声をかけてもらえる迄は、只ひたすら待ち続けていくしかないのだよ。と、説明をしたところで、思春期の彼が、李儒理樹が、自分とは運命の人、者同士だと淡く、甘い声音で、女神様に囁かれたのだから。彼が安易に、黙って待ち続けられる訳でもなく。


「ああ、彼女、女神さまは。この僕とは運命の女性ひとだと言っていた。告げてくれた。また時がくれば女神さまから僕のことを迎えにきてくれると言ってくれた。それっていつのことなのだろうか? もしかしたら、僕がおじさんやお爺ちゃんになってから迎えにきたらどうしようか? そ、それって絶対に嫌。嫌だよね……。もしも、本当にそうだったらどうしようか? 僕、それだと泣いちゃうよ。あぁ~」と。


 李儒理樹がまた名も顔も知らない。見た事もない女神様の事で嘆き溜息を漏らせばね。




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