第85話名作すごいな!
古典で平家物語の一部を抜粋して読んだ。今回は『能登殿の最期』。能登殿の死にざまがすごいんだ! 感動したというか、びっくりした。
源氏と平氏の戦いなど、歴史上ではほんの一部しか語られていない。
しかし、この濃度! 物語のほんの一部分だというのに、涙が出そうだ。
なんと勇壮な!
「いざ、さらばおのれら、死途の山の供せよ。」とて、生年二十六にて海へつつとぞ入り給ふ。
っていうラストがあっさりしていればいるほど、その偉容にどきどきする。
いいな、平家物語。琵琶の演奏会で、寝るんじゃなかった。那須の与一だってセリフがちゃんと聞こえるなら起きていられたと思うのに。
能登殿のなりふり構わない様に、源氏は寄り付かないんだけれども、舟の上で能登殿は、
「捕まえて見ろ! 頼朝の前で文句を言ってやる。やい、よって来い!」
っていうんだけれども、一見あさましいようには見えるが、その粗暴さの中に、男を見た気がする。戦いの苦しみなど知らないかのように、なお、義経を討とうとするところに物語の語るところの美学を感じる。舟を飛び越え、逃れる義経。追いかけられず、鎧などを脱ぎ、乱れ髪の能登殿。わめいておめいて……そして安芸の実康の息子たちを、両脇に抱えて締めあげ、海に飛び込む! さらばと言って。
なんという衝撃的最期! これは有名にもなる。胸が苦しくてどうにもならない。
悲劇! これは悲劇なんだ! 胸を打つ悲劇って、なんなんだ! すごすぎるぞ!
学校の古典はこんなの扱ってなかったぞ。えんえん「こころ」とかの感想文を書かされた、それは現代文だったか。これでは高校生に負けるわ……。
名作のすごさよ……。
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