フレンチブルかんち の気持ち
もちもん
カンチ日和
俺はカンチ。
仁科家に飼われているフレンブルドックだ。
海の見えるこの用宗に来て3回 の冬が過ぎた。
俺は横浜で生まれ大阪で育った。
3歳までじいじに飼われていたが、じいじが病気になったので全く縁のゆかりもない仁科家のユウタが引き取った。
「ネット掲示板」てやつらしい。
俺はたらい回しにされて、結局静岡県用宗の「仁科家」という海と山のある土地の、田舎の家族の元に落ち着いた。
仁科家は4人と1匹の家族である。
ばあばのチヨさん。
お母さんのトシコさん
高校2年のユウタ。
高校1年のヒロコ。
フレンチブルドックの俺。
仁科家は結構年季の入った平屋で、チヨさんの畑がお家の前にある。
俺はユウタの部屋で寝ている室内犬だ。
「用宗」に来た時は、自然ばかりがあることに驚いた。
横浜のじいじのところは、高層マンションで地上で寝食していなかった。
だから散歩はエレベーターに乗って地上に降りる。
俺はあれがなんとも気持ち悪かった。
散歩コースも建物がそこいらじゅうでっかくて、ほとんどアスファルトを歩く日々。
公園は芝生だったが。
小綺麗なお高く止まった飼い主と、服を着た犬ばかりで遊べやしない。
遊ぼうとするものなら、抱きかかえられてケツを嗅ぐ挨拶すらさせてもらえなかった。
じいじは足が遅かったからゆっくり歩くし、走ったりわんわん吠えたりわがままゆうのも気が引けていい子でいた。
しかし、ユウタに引き取られて俺の犬生活は逆転した。
茶色い硬いご飯はいいものはくれなくなった。
しかしながらチヨさんが、お菓子やきゅうり、ナス、キャベツをくれる。
生野菜がこんなにうまいものだと知らなかった。
ユウタとは喧嘩をしてジーパンを引っ張り合う。
ユウタに腹を立てて吠えようもんなら、
トシコさんに「ユウタ!カンチ!いい加減にしなさい!」と怒られる。
ヒロコのスカートの中を嗅ごうもんなら「スケベ。」と一発のお叱り。
野良猫には「ブサイク」だの「犬にしては短足」だのと白い目で見られる。。。
近所の外飼いの犬にも「ブサイク」だの「玉無し」だの「室内で飼われている軟弱な奴」だのと言われる。。。
正直ブサイクではあるが、雑種に言われると腹が立つ。アイツらは「ミックス」とかいう横文字で偉そうにしているが、血統書付きの俺から言わせたら「雑種」だ!!
しかしながら、浜で駆け回ったりユウタを引っ張り回して走ったりは気持ちがいい。
俺は仁科家での生活はそこそこ気に入っている。
これは俺の仁科家の生活日記にすぎない。
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