第8話 地元... ...
私の地元は、東京の都心から約一時間程で来れる、近いんだか遠いんだかわからない所にあります。人口は24万。名産品は煎餅と革細工とほうれん草。サツマイモの形をした県の中では、4番目に有名な街だと思っている。
東には食品街、西にはショッピング街があり、南には「イトヨ」と「ゼロワン」という東京にもある某有名会社が経営するビルがあり、西には住宅街が広がっている。
治安はまあまあ。昔は荒れていたみたいだけど、今はまあまあ。そこそこ平和な街である。
「やだ、面白い」
そう言ってくれたのは、「イトヨ」にある靴屋さんの従業員さん。
店内には履き心地の良い、可愛い靴が並んでいる。
私の足は、右と左で大きさに一センチもの差がある。よって右は履き心地良くても、左が小さいということが良くある。だがしかし、ここの靴は右も左も履き心地良いのである。そんな靴に出会ったことのなかった私は、嬉しくなり思わずピョンと跳ねてしまった。
「やだ、可愛い。やだ、面白い。そんな事したお客さん初めて」
笑い出す従業員さん。
突然褒められたので、びっくりしたのと嬉しいのとで、いつもなら、その場でスルーする所を、そうできない自分がいた。
「そうですかね???嬉しいです。」
「ちなみにどうしてそんな事したの???」
「嬉しかったのと、靴の性能を、試したんです。靴からの衝撃はどのくらいかなというのを。」
「へぇ。確かにそれはあるね。でもそんな事したお客さん初めて。」
いちいち、反応が、可愛い。
「でも、そんな事より可愛いし面白い人だね」「ありがとう」
つい、砕けた感じの喋り方になってしまった。
「また、来てねぇ。待ってるから。買わなくてもいいから、また、会いたい」
「うん。また来るね。ありがとう。」
靴もいい感じだが、従業員さんもいい感じ。
いい買い物が出来たし、いい人に会えた。
この街はそういうところ。
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