滴ノ君と霞梅

滴は我が心音

落ちるばかりで届きはしない


滴は我が腕

そなたの香り閉じ込める


滴は我が口付け

そなたの肌の冷たきことよ


滴は我が息

霞かかって世も末か


消えゆくものこそ美しい

届かぬものほどいとおしい

霞の向こうで梅が濡れ

甘やかな時に落ちてゆく

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