記録9:どう生きたらいい
「彼女は、リパラオネ人に会えてうれしいです!それも共産主義の根源、ターフ・ヴィール・イェスカに!」
「それは間違っているぞ。今の革命の成功は私だけによるものではない。過去の偉人の強い貢献の末に、私が結果としてこの醜悪にキリをつけただけだ。」
まあ、私がいなくなったユエスレオネで革命がどのようになったのか知る由もないが。
「謙虚ですね!彼女はあなたを敬愛します!」
私は溜息をついた。そして、鼻の先が痒いような気がした。私は尊敬されるのがいやというわけではない。だが、このシャーツニアーは私のことをなにも知らずに敬愛するのだろうか。こういう人間はホートシェートの元で誓いをたてるのに向かない。
ほかの問題はまだある。彼女が自分のことを「彼女」と読んでいるらしいことだ。リパライン語学なら私は学んだことがある。それにしても、彼女の語法というのは奇妙なのだ。彼女は方言を喋っているんだろうか?
「それで、君はここがどこか知っているのか?」
「あなたが分らないのに、どうして彼女が分かりましょう?」
これは面倒なことになった。リパライン語を話せる人間に会えたことは、安心したが、彼女はよくわからないことを言っている。
「なんでここに居るのか、知らないのか?」
「知りませんよ!」
これは不可解だ。私たちは意図してここに居るわけではないのに、確かにここに居る。私が自殺したことによってここに居るのは、意図通りのことなのかもしれないが。それはつまり、簡単に言えばここが異世界であるということだ。
つまり、理不尽から抜け出すことが出来たということだ。しかし、自由になったとしてどのように生きたらいいのだろうか。ここは私にとっては更地同然だ。
「どう生きればいい。」
天井に言っても答えは返ってこなかった。
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