記録4:運命

 ラベルには「純粋12」という文字列が見えた。純粋12型といえば、Kranteerl y io dyinで書かれたことで有名だ。このウェールフープ可能化剤は血中から直接ウェールフーポを生成する。つまり、血がウェールフープになるのである。

 その小説では主人公は撃たれて、絶体絶命の状態になる。だが、その特別なウェールフープ可能化剤を利用することによって窮地を脱する。自分もそうすればこの窮地から逃れられるだろうか。多分、そう上手くは行かないだろう。物語の中の話と現実の話はある程度別として考えなければならない。今の状況はどうだろうか。今の状況はアルシー=ケンソディスナルのようだろうか?

 そんなことを考えて、一つ気づくところがあった。Kranteerl y io dyinとはなんなのだろう。そんな名前の小説を私は読んだことはない。まあ、記憶違いだろう。

 そんなことは無視して、私は袖を捲って針を腕に刺した。


腕に少し痛みを感じたが、流れ入ったウェールフープ可能剤は熱を感じさせた。熱を感じる感触は全身に広がる。ところで、この特別警察もどき共はウェールフープ可能化剤をやったことを知らないらしい。何人かが私を見たが、皆私を邪魔することはなかった。彼らにはこれくらいで斃されることはないという自信があるのだろう。

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