神隠し
「また起きてるの?神隠し。最近多いねー。ウチもそろそろ攫われ時かなぁ…」
幼馴染みの
「そだねー…」
そのあと、謎の静寂が訪れた。
「…未来、それ、そこで使う?なんか不謹慎じゃない?あと、鈴音が可愛そう。泣いてるよ?」
ツッコミを入れてくるのは、クラスメートの
「"そだねー"のこと?あ、そういうこと?それなら全然意識してなかった。リン、当然あたしのこと許すよね?
許さないとかいう選択肢無いからな?」
「そだねー。無いねー。許さないとか言ったら後でどうなるかわかんないしねー。おお怖い怖い」
ちなみに、あたしは鈴音のことを、リンと呼んでいる。え、理由?知りたい?
何を隠そう、彼女の名前は
リンのお母さんがド天然らしくて、苗字が鈴音なのを忘れてつけてしまったらしい。本人は、『周りがすぐに覚えてくれるから楽だよ?読み間違えされまくるけどね!』って感じで不満はないらしい。
話を戻すけど、あたしの住んでる地域では最近神隠し…正確に言えば誘拐だけど、それが起きてる。1歳にもならない子どもから大人、さらには高齢者までも巻き込まれている。警察が血眼で探しているにも関わらず、被害者はもちろん、犯人に関しての情報も分からないままだった。
不思議なことは、それだけじゃなかった。
それは、あたしの眼に映る人形全てが幸せな顔じゃないこと。
家にある人形が怖い顔をしていたのは、あたしがまだ小さい時からずっとそうだけど、最近じゃあ、家にある人形だけじゃなく、お店のショーウィンドウにある人形までもが、恐怖に顔を滲ませていた。でも、友達にも、ママにもそうは見えていない。
あたしの眼がおかしいのかと思って病院に行ってみても、視力は両目ともA、色覚に異常はないし、脳にも異常は無かった。
人形を触ってみても、なにも起こらないし、人形供養をやっている寺に聞いてみても、家にある人形には邪気は全くなかったらしい。
「来、未来ー…?聞いてる?」
優羽に声をかけられ、一瞬びっくりした。
「あー、うん。なんの話?全く聞いてなかった!」
「いつもの事だ。問題無い」
「いや、あるでしょ」
これがいつもの風景だけど、こうやって馬鹿やるのは楽しいから好き。
でも、それは長くは続かなかった。
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