第24話 目覚めたらお〇ぱい揉んでました


 俺はイリスの下まで吹き飛ばされた後、そのまま気を失った。


 あれからどうなったんだ?イリスは無事か!?まず、俺の安否が気になる!!いや、待てよ。こうして考えられるってことは生きてるてことじゃないか?いやそれこそ待てだ。もしかしたらここは死後の世界……………という線もある!


 状況から考えて、あの窮地から助かるのはまずないんじゃないか?イリスボロボロ、俺KO…………………うん、助かってなさそうだな!


 あの世にはちゃんと天国と地獄とかあるのかな。あるとすれば天国に行きてえ逝きてえ!天国に行ったらどーしよーかなぁ。あんなことやこんなこと、グヘッグヘヘヘヘッ………………………!


 視界が明るくなり始めた。


 おっと、意識が覚めるか。お楽しみエンジョイパラダイス時間の始まりだぜぇ!!



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「………………………………」


 不思議な感じだ。身体が動かない、まだ体が慣れてないのか……。この背中の抱擁感はベットか。この上質な生地と肌触り……俺が横たわっているのは屋敷のベットか……。


 ん、なにやら手のひらに暖かいものが……


 だんだん回復してきたぞ。手の感覚が戻ってきた。どうやらこの物・体・は暖かいし……なんか柔らかいな。


「…んっ…………はぅ……」


「???」


 え、何今の。なんか色っぽい声が聞こえて来たんですけど、俺の耳壊れてませんよね!?幻聴ですか!?耳鼻科行ったほうがいいですか!?天国いって目覚めた瞬間、エロゲプレイしてんですか俺!?


 エロゲではないな、まさか楽園はもう始まっているということなのか!!かといって、見ず知らずの女の子に触れるだなんて思春期の俺には東大に行けと言われているようなもの!しかもこの感触は何なんだ!これが噂に言うお〇ぱいなのか!?いや、女の子は全部が柔らかそうだからな。DT万歳の俺には到底分かり得ないことだ!!


 そう、俺が触れられるのは天国にいるからである!だからこうして触れているのも天国でハーレムヤッホウしているからである!


 俺はカッと目を見開く。


「よって結論。ここは天国なのd………」


「…んっ………おはようございまっ…あっ………だ、だめっ………」


「ブォゥフゥッ!!!!」


 目の前には寝間着を着た金髪美少女が隣で横たわっていた。溢れんばかりの胸を鷲掴みした手を動かす度に目を細め、ほんのりと顔を赤らめていてる。口からは声が漏れて、ハァハァッと色っぽい熱い吐息がコータの顔に触れる。


「……………」


「……………」


「…………………………」


「…………………………」


「………………………………………………」


「………………………………………あのっ」


 イリスが言葉をするより、コータの方が早かった。それも早口で


「う、うわぁぁああああ!…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!いくら天国だからと言って、何でもしていいわけないですよね!?だって俺も男の子だもん!女の子の体に触れたいというのは男の自然現象であって、男の使命とか目標とか野生本能というかそんなもんなんですよ!!それに、知らない人なら遠慮しようとさっき思ってたんですけど、身内となるとやっぱりくるものがありまして、それでそれで――――――――」


「お、おお落ち着いてください!さっき天国とか言ってましたけど、ここは現実世界ですよ!」


「…え、ほんと……?」


「はい!ほんとのほんとです!!」


「なーんだ、それなら安心――――――――じゃねぇよ!!現実世界なら余計にヤバいよ!!どうしよ、まだあの時の感触が手に――――って、本当に俺は懲りねえな!?」


 なにこれ超赤面ものなんですけど!恥ずかし過ぎて、死にそうだよ!?こんな時こう言うんだよな、穴があったら入りたい!!って……


「と、とにかく!どうして俺と一緒にイリスが寝てたんだ?」


「え、あ…いや………そう!一か所に運ばれたからなんですよ!」


「ふーん、ま、そうだよな。お互い無事で何よりだ!」


「…………………布団に忍び込んだなんて言えない」ボソッ


「ん、何か言ったか?」


「!……いえ、なにも、言って、ない、どす!です!」


 ふう、何とか話を逸らすことができた。なんかさっきからイリスのきょどり具合が情人じゃないんだが………。


「そういえば、俺の背中の傷が癒えてんだけど、イリスは俺より早く起きてたのか?治療魔法使えんのはイリスだけだし」


「ふぇ!?最初から起きてて――――――――はい、応急処置は施されていましたから治療魔法で治させていただきました!ですけど、完全には治らなくて出血は止めたのですが、傷跡が残ってしまって………ごめんなさい。私も未熟です」


 イリスは少し顔を附せて、申し訳なさそうに静かに言った。確かに、背中を確認してみるとバッサリと三つの斬り筋の跡が残っていた。見るだけで、エグくて顔を顰めてしまう。


「んや、治ってるだけサンキューな。それに傷跡があるとか、なんかかっこいいし。厨二病感半端ないけど………」


 イリスは俺の前で綺麗な正座の姿勢を作った。真剣な表情だ。


「それで…ですね…………ごめんなさい……!」


「え、なに!?俺なんかイリスに謝らせるような何かをしたのか!?」


 さっきの胸の件のこと怒っているのだろうか、それならイリスが謝る事はないし。……はっ!まさか、解っていたのに対処できなくてごめんなさいとかそういうことなのか!?え、そうなの?マジ?


「いえ、違うんです。今回私がコータさんにどれだけの迷惑と嫌な思いをさせたか。私の勝手な思い込みでコータさんを危険な目に遭わせてしまったか」


「なんだそんなことか」


 その場にイリスの腑抜けた声が響く。すると、膝の上に乗せた手をギュッと握り締めて。


「そんなことで済ましてはいけないんです!私はコータさんを殺そうとしました。傷もいっぱいつけました。完治できなくて残った傷跡もあります!私がやったことはそんなことでは済まされないんです!!」


「なぁイリス……」


 コータは静かに、優しい口調でイリスに話しかける。イリスはゆっくりと顔を上げる。目元や鼻の先は赤くなり、白くほんのりと赤い頬には涙が伝っている。


「俺が魔物に囲まれた時、どうして助けてくれたんだ…?」


「………それは…コータさんに死んでほしくなかったからです………」


「なら、それでいいんじゃないの?」


「え………?」


「何を思って俺を助けたのかは知らないけど、俺を助けようとしてくれたんだろ?そして結果、俺は助かった。過程はどうあれ、俺を助けたのはイリスで、この事実は変わらない。……イリス、今でも俺を殺したいと思うか?」


 イリスは顔を横に振る。言葉を重ねれば重ねる程、イリスの涙は止まらない。


「殺したくないんならそれでもういいじゃん。それに、俺は許してる。これで何も問題はないだろ?」


「で、でも……」


「でも!っじゃないの。お互い無事に助かったんだ、今はそれを喜び合おうぜ」


「はいっ………最後に、いいですか」


「ん、なんだ?どんとこい!」


 イリスは深呼吸をしてから、大きく息を吸って。


「コータさんは私が憎いですか?」


「そんなわけないだろ」


「こんな私を嫌いになりませんか?」


「嫌いだったらたら会話すらしてねえよ」


「私は我が儘でコータさんが思っている私より全然違います。コータさんの事を知りたい。でもそれは、きっとコータさんに嫌われちゃうことかもしれません。…それでも私は側に居てもいいですか?」


「俺もイリスの知らない事一杯知りたいってこと知ってるか?」


「~~~~~~~ッ!」


 今のはクリティカルヒットだったらしく、イリスの顔は真っ赤になっている。伏せていた顔は再び上がり、上目遣いでコータを見上げている。それを見て、言葉の意味を考えたコータも顔が赤くなる。


「うぅっ……ま、まぁなんだ……弱くて不甲斐ないけどよ。俺も――――――――」


 その先の言葉は、柔らかいなにかで口を塞がれて、その先の言葉を口にすることができなかった。


「ッ!?」


「……………」


 俺の目の前に、力いっぱい目を瞑ったイリスの顔がある。そして、俺とイリスの唇が…重なっている。


 えぇと……俺……………キスしてる?


 だってこの距離で、顔が近くて、唇が重なって、そこから熱い何かが流れ込むような――――――――。


「~~~~~~ッ!?」


 状況を理解した。俺は、顔が真っ赤になる。顔を赤くすることしかできなく、目が泳ぐだけの俺に、イリスはお構いなく優しく、少し不器用なキスを続ける。そして、俺は正面から受け止めるような体勢でキスをしている。


 長いキスが終えた後、イリスは赤い顔をコータに向ける。


「ふぇ、いや、その……」


 俺は恥ずかしさや急な出来事により思考が停止してオドオドしていた。









「私は、コータさんの事が好き」










 俺、告られました。

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